高い目標掲げるベトナム航空業界 設備投資と並行して人材育成が急務

ベトナムでは、航空業界が著しく成長している。今年上半期はやや減速がみられたものの、民間企業の新規参入などで、下半期は再び力強い成長がみられそうだ。ベトナム経済新聞(VEN)の記者が、ベトナム市民航空局(CAAV)のボー・クイ・コン副局長にインタビューしが、業界の将来などについて尋ねた。

2019年の上半期、航空利用者の数は相変わらず増加を続けたが、その増加はやや減速し、前年同時期の9.4%増の3850万人となった。ベトナムの航空会社、バンブー航空が市場に参入し、ベトナムに乗り入れする航空会社を76社とした。このうち、72社が海外企業で、ベトナムの航空会社は4社で、25の国と地域と、首都ハノイ、ダナン、タンソンニャット(ホーチミン市)、カムラン、フーコック、カントー、カットビー、ダラットの国内の8都市を結ぶ国際定期便とチャーター便路線は200を超える。

今年6月下旬までに、ベトナムの航空会社によって197機の航空機が運用された。これらの平均利用年数はまだ5.2年で、機体数は前年同期と比べて30機増えている。定期運航便やチャーター便は155航路あり、20の国と地域の89の都市を結んでいる。ベトナムの国内航空会社の市場占有率(シェア)は41%に達している。国内便は22の空港を結び、48路線が運航している。

Q 熱かったベトナム航空業界の成長が、今年の上半期はやや落ち着いてきた。これをどのように評価しているか?

ボー・クイ・コンCAAV副局長:減速はしたものの、ベトナムの航空業界は依然として活況で、投資家らの関心をひきつけ続けていると思う。ベトナムの旅行会社大手、ベトラベル・エアラインズや、ベトナムの多角経営企業、ビングループ傘下のビンパール・エア、そしてクアンナム省のチューライ国際空港を拠点とするティエンミングループのカイト・エア(Kite Air)が、今後市場に参加する予定だ。これらの新規参入によって、乗客の選択肢はさらに広がることになる。

Q 急速に発展するベトナムの航空業界だが、ベトナムのインフラ設備は従来のままで見合うのだろうか?

クオン副局長:航空業界は3つの主要構成要因がある。空港設備、航空管制管理と航空会社だ。そして、そのどの分野も、今後も継続的に適正規模の投資が必要だ。
ベトナムから離着陸する航空会社の発展は、質、量ともに大きく前進を遂げており、さらに競争力をもつ市場の創出に大きく寄与し、国内外の市場発展を促進し、航空機の利用者の拡大につながっている。例えば、ベトナム航空は、エアバス350や321、ボーイング社の787-9/10などの最新機種を多く導入し、長く4つ星の地位を守り続けている。また、新鋭のベトジェット・エアとバンブー航空は、継続的に新しい機体を導入し、国内、国外の路線を積極的に増やることで、地方空港を中心に、航空インフラの効率的な開拓に貢献している。

航空管制の面では、2カ所の広域管制センターと、4カ所の航空統制センターのほか、民間機が利用する国の空港に22カ所の完成コントロールセンターを備えるなど、ベトナムは民間で一貫した管制仮や統制システムを構築している。GPS(全地球測位システム)を活用した地上管制施設も12カ所に開設されている。これらの施設には、航空管制を統御する衛星を利用したナビゲーションシステム、完全自動化されたデータ解析設備などの最先端技術が搭載されている。

国家予算や民間投資による各地の空港の改善や発展も目覚ましく、先日、開港したバンドン国際空港のほか、ダナン国際空港、カムラン国際空港などが例として挙げられる。また、不動産開発大手のFLCグループと、空港内のブランドモールなどを運営するアイメックス・パンパシフィックグループ(IPPG)は、ベトナム空港と共同でタンソンニャット国際空港の第3ターミナル建設プロジェクトを推し進めている。一方、ベトジェットはチューライとダナンの2つの国際空港の設備改革を検討している。

民間ベースでの開発も、例えばバンドン国際空港の整備や、ダナン国際空港、カムラン国際空港での2つ目のターミナル開発などは、各地の空港での航空機や乗客の混雑緩和に役立っている。

航空機の過剰な離発着数を緩和させるためには、国もロンタイン国際空港の建築計画を進めており、既存の国際空港の拡大や設備増強などでも対処していく考えだ。ロンタイン国際空港の建設については、政府がその実行可否を調べるための評価会議を設立している。

Q 持続可能なかたちで、ベトナムの航空市場を発展させるためには、今後何が必要か?

クオン氏:航空業界のマネジメント面ではさらに改善が必要で、より高い技術と管理能力を備えた人材を必要としている。人材の育成は、高度な技術を持った人の育成と同時に、人数の確保も重要だ。第4次産業革命に対応した管理ツールの開発と同時に、航空の安全やサービスの質の向上など細やかなニーズに見合うかたちで人材の開拓が求められる。

また、市場に新規参入した企業はそれぞれの目的や戦略を明らかにし、財務や人材の確保をすることが必要だ。特にパイロットやエンジニア、整備士の確保の面では、国内外の航空業界各社との取り合いになるだろう。

また、航空機利用を見越した投資を可能とする、適切で効率のよい航空関連の法律整備だと思う。