ベトナムモーターショウ2019 初登場の国産車など時代を反映 

今年も、ベトナム最大の自動車展示会、「ベトナムモーターショウ(VMS 2019)」が、10月23~27日、ホーチミン市で開かれた。今年はインターネット配信も行われ、会場外でも数百万人が雰囲気を楽しんだほか、初の国産車となるビンファストが参加するなど、“ベトナムの現代”を反映した催しとなった。

イベントを主催したベトナム自動車工業会(VAMA)によると、今年1~9月のベトナムの自動車販売台数は、前年同期比18.4%増の23万334台に達した。VAMAの木下徹会長(トヨタ・ベトナム社長)は、「堅実な経済成長と人口増加により、ベトナムは自動車業界にとって前途の明るい市場だ」とあいさつした。

ベトナム市場への注目を裏付けるように、会場には、フォードのほか、アウディ、ジャガー、ランドローバー、トヨタ、ベンツ、三菱、日産、スバル、スズキ、ビンファスト、フォルクスワーゲン、ボルボなど世界的メーカー各社が、広さ約2万平方メートルの会場に約100種類の自動車を展示。のべ20万人が来場した。

自動車分野の部品などすそ野産業の企業も200余りのブースを立ち上げたのは、今年の特徴だったといえる。メーカーも、自社の新型車両と先端技術を披露するだけでなく、自動車販売後のさまざまなサービスをアピールしていたことも挙げられる。

このイベント内でアメリカの自動車大手フォード社は、「われわれは毎年、最低でも1台は必ず、ベトナムで新型モデルを販売できるよう、あらゆる努力を行っている」とベトナムの消費者に熱烈アピール。その言葉通り、今年は、SUVでは大型のエクスプローラーや中型車のエベレスト、都市型仕様のエコスポーツなどを初披露した。

また、今年初参加で特に会場の目を引いたのが、ベトナム初の国産自動車となる「ビンファスト(VINFAST)」だ。自動車を構成する部品をエックス線照射した画像や、バーチャルリアリティを活用した自社工場の見学、F1のレースシミュレーターを応用したゲームなどで自社の最先端技術を来場者に見せつけ、ベトナム国産車の信頼性を訴えた。

アウディはベトナムに6種類の新車を投入したし、ランドローバーは、新たな輸入代理店を通じて販売を展開するレンジローバーの「イヴォーク」をお披露目した。メルセデス・ベンツ社のブースは、高性能モデルのAMGなどが何台も並べられた。ボルボは、さまざまな賞を受賞したXC90などを披露した。

ホーチミン市人民委員会のチャン・ビン・トゥエン副委員長は、「自動車による移動の増加は、ベトナムの市場成長を促している」と説明し、今年1年間での自動車販売台数は30万台を突破するとの見方を示した。

また、ベトナム自動車輸入協会(VIVA)のローラン・ジュネ大統領は、「今年のベトナムの自動車業界は大きく変化した」とし、ベトナム政府が、自動車組み立てに携わるサプライチェーン企業への投資を促進し、輸入市場で公正な競争を創出するのに役立つさまざまな政策を発表したと評価した。