豚肉、石油…年末需要に向けて、供給安定化が課題=アフリカ豚コレラ発生で価格高騰

■500万頭以上を殺処分
ベトナム当局や企業は、商品需要が高まる年末に向けて、食糧や食料品、ガソリンといった必需品の供給安定化を急いでいる。

写真㊤=ペトロリメックスは、国内需要に対応するための石油の輸入計画を作成した

今年9月に行われた国内市場管理チームの定期会合で、ベトナム統計総局物価統計局のタ・ティ・トゥー・ベト副局長は、「アフリカ豚コレラの継続的な発生により、国は500万頭以上の豚を殺処分した。その量は29万トン以上に相当する」と明らかにした。

殺処分による供給不足により、豚肉の価格は高騰している。多くの省と市では、今年7月末時点では1キログラム当たり2,000~5,000ドン(約9~23円)だったのが、35,000~47,000ドン(約164~221円)に跳ね上がった。同時に、国内供給を確保するため輸入も増加し、今年1~7月の豚肉の輸入量は11,658トン増加(2,210万ドル=約24億円相当)し、前年同期比で輸入量は3.7倍、輸入額は4.3倍に急増した。

豚肉に加えて、ガソリンに関しても、タインホア省のニソン製油所のメンテナンスが年末まで続くと、供給量は減少すると予測される。また、ベトナムの国営石油大手のVietnam National Petroleum Group(ペトロリメックス)によると、サウジアラビア最大の石油・ガスグループで、アジアの工場への石油・ガソリン製品の主要なサプライヤーであるサウジアラムコ社の石油施設が、最近テロリストに襲撃されたことで、石油価格が高騰し、供給に打撃を与えている。

■石油の輸入計画作成
こうした差し迫った課題に対応するため、省庁や部局、地方当局、企業は、とりわけ必需品の供給準備に取り掛かった。

豚肉に関して農業地方開発省は、アフリカ豚コレラの影響を受けていない地域で繁殖を進めるよう指示を出した。また、商工省は市場管理部門に対し、全国の関係機関と連携して、検疫規則を遵守し、感染した豚・豚肉製品の輸送と販売を防ぐよう指示した。

ハノイ市商工局の代表者は、「アフリカ豚コレラが、ハノイで沈静化したという兆候はまだない。1月下旬の旧正月(テト)を前に、ハノイ市はすでに近隣の省や市と、豚肉供給に関する契約を締結した。また、市内の消費者には、豚肉に代わって他の肉を使用するよう呼びかけた」と話す。

石油や石油製品では、ペトロリメックスは、国内需要に対応するための輸入計画を作成した。しかしながら、輸入業者は多くの外貨を用意する必要があるため、同社は銀行に対し、十分な外貨を提供するよう求めている。

今年1~9月の平均消費者物価指数は、前年同期に比べて約2.52%上昇しており、今年後半の物価の安定化がさらに重要になる。