ベトナムの貿易収支、10カ月間で約90億ドルの黒字 年間目標達成が濃厚

ベトナムの2019年1~10月の貿易収支は、約90億1000万ドルの貿易黒字となり、昨年同時期と比べ23%増加した。スマートフォンなどの携帯電話や部品、コンピューター、繊維製品などの輸出が堅調だったことが奏功した。

税関総局などの統計によると、ベトナムの10カ月間の総輸出額は約2188億2000万ドルだった。昨年同期と比べると167億ドル(8.3%)の増加となった。

商工省が設定した今年の年間輸出総額の目標は、昨年より7~7.5%増の2610~2620億ドンとされていた。自然災害や家畜に蔓延した疫病などの影響に加え、米中の貿易戦争やさまざまな貿易障壁、貿易の不正や原産地偽装なども大きく影響すると考えられ、一時は目標の達成が厳しいと予想されていた。

中国への輸出は、コメや冷凍魚肉、天然ゴム、繊維、コンピューターや部品類、ガラス、紙、プラスチック、鉄鋼、スマートフォン、魚介類や野菜などの農産物や生活必需品など、一部で輸出減少がみられた。だが、政府や企業による市場拡大と貿易促進の努力によって、最終的には、貿易額の目標達成は目前のところまできた。輸出成長率は、今年第1四半期の5.3%から第2四半期には7.2%まで伸び、今年10月には8.3%に達した。

さらに、衣服や繊維製品、木材や木製品、魚介類や農産物の加工品などは例年、年末年始用の需要の高まりに伴って年末に輸出が伸びるため、輸出総額は今後、さらに上乗せされると期待できる。

輸出目標の達成は、世界の国や地域と結んだ自由貿易協定の恩恵を、ベトナムが最大限に享受したことや、国内のさまざまなビジネス環境が改善されたことなどが、主な要因。多くの国際的な経済レポートやランキングなどにもこれらの事象が反映され、輸出成長の起爆剤となった。

商工省は今後も、積極的な貿易活動戦略を展開できるよう、米中の貿易戦争を中心に世界経済の変動をつぶさに監視する考え。さらに、主要製品の輸出促進画を策定する一方で、貿易救済措置を回避させないための措置や、原産地偽装を防ぐための手段などにおいて、国の管理体制を強化させるという。

商工省の下部組織であるベトナム商工業情報センターのファム・タット・タン元局長は、「ベトナムが署名している自由貿易協定は、これまで輸出市場の拡大機会となってきた。 だが、不正貿易や原産地偽装などは、ベトナムの輸出に甚大な悪影響を与える可能があり、民間企業や関連団体などは、政府当局と緊密な調整を行ってこれらのマイナス要因を排除していく必要がある」と指摘する。