新規プロジェクト目白押しの「ホアラック・ハイテクパーク」 投資総額約7兆ドン規模へ

ハノイ市西部に位置する科学技術などに特化した工業団地「ホアラック・ハイテクパーク(HHTP)」の運営管理委員会はこのほど、ベトナムの通信最大手、ベトテルと戦略的協力協定を締結し、4件の新規プロジェクトを承認したと発表した。ハイテク技術の研究開発と新製品などの生産拠点を拡大するための投資を増大させるとしており、投資総額は計7兆4600億にのぼるとみられる。

ホアラック・ハイテクパークはベトナムの国家プロジェクトとして、11月末にグエン・チー・キム・ガン国会議長が同工業団地を視察に訪れた際に、最終合意に至った。同工業団地は、科学技術都市の設立を目指すベトナムの国家プロジェクトで、1990年代後半に、最新の技術の移転や開発促進などを目指して開発が始まった。

◇投資やプロジェクトが拡大
ベトテルは2020年の第1四半期に、ハイテク機器の製造と検査を行う広さ約9.1ヘクタールの複合拠点の建設を始める。

また、「ベトテル研究開発センター」(広さ約13.2ヘクタール)を新設し、エレクトロニクス技術や電気通信機器、5G通信やIoT(物のインターネット活用)、さらには軍事技術など、同社の主要製品や核となる分野の最先端技術の開発拠点として活用する。

この機会に合わせて、多角経営を展開するビングループの傘下企業、ビンスマートが、同工業団地内に電子機器の複合製造施設を新設。施設は環境やエコに配慮したスマートフォンやさまざまな電子機器の生産システムが採用されており、同地域でももっとも先進的な技術開発拠点兼製造拠点として、地域をけん引していくと期待されている。

ホアラック・ハイテクパーク運営管理委員会によると、同工業団地がこれまでに誘致した投資案件は91件で、総登録投資資本は86兆3650億ドンにのぼる。このうち、45件はソフトウェア分野の技術開発、人材育成や外部受注の拠点。このほか、通信技術分野のハイテク製品の生産プロジェクト、バイオテクノロジー拠点、新素材の研究拠点、生産オートメーションの開発拠点、さらには技術や社会のインフラ開発プロジェクトなどが含まれる。

国内企業だけでなく海外企業がHHTPに向ける視線は熱く、航空宇宙技術開発を行う韓国のハンワ・エアロスペース社が工業団地内に拠点を構える。日本からは、日産テクノが自動車技術の研究拠点、精密機器製造の日本電産(NIDEC)の研究開発センターを設立するなど、世界各地の企業が進出している。ベトナムもベトテルとビングループをはじめ、ベトナム郵政通信総公社(VNPT)、IT最大手のFPTなどが拠点を構えている。

◇新規進出を歓迎 環境整備に尽力
国家プロジェクトでもあるホアラック・ハイテクパークの運営管理委員会は、2025~2030年の期間中の投資を誘引するために、さまざまなプログラムや戦略の開発にあたっている。これらは今年8月20日に施行された海外からの投資の増進に関する政令50-NQ/TW号に加え、第4の産業革命や海外投資促進に関する政府の指針を示した9月27日施行の政令52-NQ/TW号に伴ったものだ。

先月末、ホアラック・ハイテクパークを訪れたガン国会議長はあいさつで、科学技術省と同工業団地運営管理委員会の努力を称え、投資企業に対しては「HHTPが、ハイテク技術プロジェクトのインキュベーターへと、そして国内外の投資家にとって魅力ある、信頼に値する投資拠点へと成長することができた。みなさんの手助けに感謝したい」と語った。

ガン議長はまた、科学技術省に対し、海外の経験から学び、より多くの国内外の企業の進出を誘引し、同工業団地の発展の余地をさらに拡大するよう求めた。特に、先進的科学技術の発展の妨げとなる要因を排除し、より好ましい投資環境を整えることで、ベトナムだけではなく東南アジアの発展拠点として、ベトナム経済の生産性や効率、競争力を向上させていくことを要望した。

進出している企業や団体に対しては、発展や改革、生産の拡大、さらに進歩した技術の適用などを導入・実現するよう呼びかけ、「市場に高度技術を応用した製品を紹介するとともに、『ベトナム製品』のブランド価値を創出し、付加価値を付与して、ベトナムの経済成長の中心的な動力となってほしい」と語った。

ホアラック・ハイテクパークでは、今後さらに、26兆ドンの登録資本に該当する追加投資が計画されているという。