電子財布、利用者拡大へ優遇競う=50%還元も

 電子財布サービスを展開する事業者が、有望と目されるベトナム市場での利用者拡大を目指し、優遇措置を競っている。9日付のベトナム・ニュース紙が報じた。

 銀行業務の専門家グエン・チ・ヒエウ氏によれば、ベトナムでは既に、数百万人が電子財布サービスを利用。配車サービス「グラブ」で使ったタクシー料金や、携帯電話代、日用品の買い物などの支払いでよく使われているという。
 電子財布・決済サービスのモモ(Momo)には、ウォーバーグ・ピンカス、ゴールドマン・サックス、スタンダード・チャータードといった金融大手が1億4000万ドルを出資。利用者数は1200万人を超え、ベトナムで最大手となっている。複合企業ビングループのビンIDの利用者は800万人、「グラブ」と連携するモカ(Moca)も700万人が利用し、ベトナム国内で電子財布サービスを展開する事業者は約30に上る。
 商工省によると、ベトナムの電子決済ビジネスの伸びは年35%となっており、世界で最も速いペースで成長する市場の一つ。ホーチミン市経済大学のグエン・クオック・バオ金融学部長は、こうした市場の高い伸びの背景には、電子財布サービスを提供する企業が利用者拡大へ投じる多大な資金があると分析する。
 モカは2019年7~9月、1件当たり20万ドンを上限に電子決済の支払額の20%を還元するキャンペーンを開始した。モモは19年11月から、ガソリンスタンド、コンビニエンスストアなどでのさまざまなサービス利用に、50%を返金するキャンペーンを実施。ビンIDも電子財布の利用者に最大55万ドン相当の値引きサービスを提供する。
 ヒエウ氏は、電子財布サービスを提供する事業者にとって約9700万人の人口を抱えるベトナムは大きな市場だと指摘。「現在は(利用者拡大へのキャンペーンで)資金を使っているが、ある段階で、利用者から手数料を集め始めることで利益を上げることになる」と予想した。ただ、激しい競争の結果、敗者はすべてお金を失い、一部勝者だけが「すべてを獲得する」との見方も示した。(ハノイ時事)