どうすれば、ベトナム航空を効率的に競争力アップできるのか。航空市場の過当競争が激化するなか、既存航空会社も新興のLCCも、差別化に向けた地域的、世界的戦略が求められている。そのカギとして注目されているのが、人工知能(AI)をはじめとするデジタル技術だ。AIがもたらす航空業界の未来について、IBMベトナムのダオ・ホアン・ジャン・北部セールス・リーダーが語る。

国際航空運送協会(IATA)によると、ベトナムはこの10年間で平均17.4%増のペースで成長してきた世界で最も成長率の高い航空市場だ。ベトナム民間航空局の統計によると、2019年上半期のベトナムの航空産業全体のフライト数は15万3559。前年比で2.4%の微増だが、国内便で2020万人(12.5%増)、国際便で1830万人(6.2%増)の乗客を運んだ。

デジタル技術が今、航空産業を変えている。とりわけ、航空機の運用を根本的に生まれ変わらせた。 デジタルは、人とテクノロジーなどをつなぐことで、円滑な顧客体験をもたらし新たなレベルのデータ運用を可能にしている。

ルフトハンザは、効率化によって、乗客の搭乗時間を短縮、出発の遅れを避けることでコスト削減した。同社はIBMとアップルの共同で、地上でのオペレーション向けにiOSを導入し、巧みな運用によってすべての乗客に円滑なフライトをも提供している。

同社においてAIは、より顧客に合わせたサービスの提供や、効率的運用に貢献することを示した。ルフトハンザグループは今後も、IBMとITパートナーのプロバイダー、ワトソン・サービスとより密接に協力し、AI化を進めていく。

AIは、世界中の航空会社と空港当局の仕事を容易にしてきた。 IBMによるAIは、乗客の身元確認からバッグ内部の検査まで、さまざまな処理を、より効率化し、スピードアップすることで空港利用者に貢献することができる。

IBMとワトソン・サービスは、利用者と従業員に正しい情報を、正しいタイミングで、正しく伝えることができるように努めている。たとえば、利用者がインターネット機器を使って 先々のフライトの正確な情報にアクセスできるようにすることなどを通して航空会社をサポートしている。また、アプリを利用することで、フライト前後の準備ができているかどうかの判断など、パイロットの生産性を向上させることも可能だと期待されている。

シンガポール航空も、顧客サービスの向上とオペレーションの効率性を高めるために大規模な投資をしている。たとえば、iPad用アプリの「フライ・ナウ・アンド・ロスター」を使えば、パイロットは関連情報や最新情報を得ることができるようにしている。

利用者の期待と行動は変化し、産業はより複雑化する。しかし、同時に、複雑化する仕事をよりシームレスに運用できるテクノロジーが出現する。IBMはこれからも、安心な未来のインフラを築き、航空産業が新たな高みへと向かうことを支援していく。