ベトナムの青果物輸出、50億ドル目標に=前年比大幅増、FTAに期待

ベトナムの青果物輸出は、自由貿易協定(FTA)による関税の優遇措置を踏まえ、2020年は50億ドル(約5190億円)の輸出目標を掲げている。2019年の輸出額は、前年比1%減の38億ドル(約3944億円)であり、前年実績より12億ドル(約1260億円)高い目標となる。

2019年は米中貿易戦争の余波などを受けて、目標である40億ドル(約4152億円)を達成できなかった。例えば、青果物輸出会社のビナT&Tグループ(Vina T&T Group)の2018年の総輸出額は約3000万ドル(約31億円)だったが、2019年は、ベトナムが署名したFTAを見込んで、20%の成長目標を設定したものの届かなかった。

ベトナム果物・野菜協会(Vietnam Fruit and Vegetable Association)は今年、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)が発効されるのを受けて、輸出額は約50億ドルに急増するとの見通しを立てた。EVFTAが完全に適用されると、ベトナムからEUへ青果物を輸出する際の関税はゼロパーセントになる。

キムハイ輸出入会社(Kim Hai Import-Export Company)のディレクター、ファム・カオ・ヴァン氏は、「ベトナムの果物や野菜をEUへ輸出した場合、20~30%の高い関税が課される。関税の引き下げは大きなビジネスチャンスになる」と期待する。

同協会によると、一部の青果物では、すでに海外市場への輸出が始まっている。例えば、マンゴーは確実に輸出が伸びており、生果実の対米輸出で、ライチ、リュウガン、ランブータン、スターアップル、ドラゴンフルーツに続く6番目に多い輸出品となった。

さらに、日本の農林水産省は、ベトナム農業・地方開発省の植物検疫所に対し、日本にはベトナム産ライチの市場があるとする書簡を送っており、こうした動きは、ベトナムの青果物に大きなチャンスがあることを示唆する。

しかしながら、チャンスをつかむには、青果物業界が、国際基準を満たす生産体制を築いていく必要がある。実際、グローバルGAP規格を満たす耕地面積は、約100万ヘクタールのうち5%にしかすぎない。

そのほか、多くの青果物輸出業者は、製品をより良く保存するための深層学習の活用にも注目している。