農産物の輸出に打撃 輸送費高騰や消費低迷

新型コロナウイルスの感染拡大で、中国やEU向けの農産物輸出が影響を受けている。輸出コストの高騰に加えて、一部では不当廉売による価格の下落も。ライチやトウガラシなどが収穫時期を迎えるなか、地元や商工省では国内のサプライチェーンや、新たな輸出先の開拓に力を入れている。

中部に位置するビンディン省のチャン・チャウ人民委員会委員長は、「3月末に4万8000㌧のトウガラシの収穫があったが、パンデミックのために消費が落ち込んでいる。欧州へのマグロやエビ、家具の輸出も影響を受け始めている」と困惑する。同委員長によると、材木と材木製品、海産物は同省の輸出品の柱でそれぞれ5億ドル、3億ドルの売上高があるが、影響は避けられないという。

一方、東北部のバクザン省では、5月20日から6月15日にかけて約4万㌧、同月15日から20日にかけて約12万㌧のライチの収穫が見込まれている。「しかし、中国の感染拡大の影響で輸出が困難になってきた」と同省農業農村開発局の担当者は心配する。

農産物の加工販売をするナフーズ・グループのグエン・マン・フン会長は、「感染拡大の影響で、中国への輸送費が2倍にはね上がり、EU諸国への船での輸送も15%高くなった。さらに、複数の企業が不当廉売で競争を仕かけ、農産物に安値を強いている」と話す。こうしたな、同グループでは、ドリアンやパッションフルーツ、サツマイモなど他の農産物の輸出拡大と市場開拓を続けていくとしている。

バクザン省のライチは今年、日本への輸出ライセンスを取得。これを受けて、農業農村開発省植物保護局のコーディネートのもと、日本の基準に適合するよう農家へのガイダンスを行っている。さらに、地場産業や貿易業者に、国内向け販売の促進と中南部への流通拡大を勧めている。

商工省は関係当局と連係しながら、企業と地方の行政当局の助言や意見を聞いたうえで効率的な貿易促進活動の展開や海外市場の多様化、国内流通網の開拓を推進する。