ベトナム 豚肉の高騰続く 価格安定化に業界合意

豚肉価格が高騰している。アフリカ豚熱(ASF)の影響による豚肉の不足が主な原因とされるが、食肉を扱う大手企業は、卸業者が豚肉のスライスの市場価格を急騰させていると指摘。政府は関係企業から意見を聞くなど、価格の安定に力を入れている。

写真㊤=高値の続く豚肉。価格の安定に向けて政府も動き出した

首相から指示を受けたチン・ディン・ズン副首相はこのほどハノイで、生肉価格を1㌔7万ドン(約320円)まで下げる方法について食肉の大手企業の代表者らと話し合った。ズン副首相は、価格の安定化をはかることが、家計を抑えるだけでなく、生産者と消費者の双方の利益につながり、結局は持続的な豚肉市場の維持につながると述べた。

食肉最大手のC.Pベトナム・ライブストック・コーポレーションのブ・アン・チュアン副社長は、1㌔7万5000ドン(約340円)になれば、小売価格は最大でも10万ドン(約450円)に抑えられる、と説明。「現状では、消費者は、適正価格より40%も高いお金を支払っている。卸業者が不正に利益を得て、消費者と生産者に痛みを押し付けている。さらに、税収の損失にもつながっている」と指摘した。

会談で、C.PベトナムやCJビナ、ダバコ、ジャプファ・コンフィード、エミベストなどの代表者は、首相の指示のもと生肉の価格を1㌔当たり7万ドンにまで下げることを約束。政府に対して、価格の変動を避ける豚肉を含めた商品リストを提案した。

商工省のド・チャン・ハイ副大臣は、「豚肉の供給不足はASFが主な原因」としたうえで、農業農村開発省に対し、より詳細な情報を提供するよう求めた。一方、同省は、商工省に対して、投機的な売買や価格高騰を避けるため、とりわけ卸に関する供給網の十分な統制を申し入れた。

ハイ副大臣によると、C.Pベトナムは食用豚で国内シェア16.5%、生肉で19.71%、ダバコはそれぞれ1.1%、1.34%を有している。ベトナムでは法律によって、30%以上のシェアを有することはできない。