10年間保存も可能に 最新の貯蔵技術で農産物輸出拡大へ

近年、ベトナムに技術移転された最新の貯蔵技術によって、有害な化学物質などを使わなくとも農業生産物が10年間貯蔵できるようになった。この技術の登場で、成長を続けるベトナムの農産物輸出への期待が高まっている。

ベトナムは農産物に恵まれ、輸出においても大きな潜在力を有している。しかし、近年は、多くの難問に直面していた。最大の課題は、とりわけ輸入業者からの要望の声が多い輸送中の船室での品質の維持。しかし、ベトナムの輸出業者は、顧客からのこうした要望に応えることができなかった

その理由は、国内業者が収穫後保存技術に弱かったことだ。科学技術省のグエン・クアン大臣は「農産物の収穫量の増加に対して、収穫後の保存技術や加工技術が追いついていなかった」と語る。

こうしたなか、多くの科学者たちが、多大な労力をさいて研究を進めてきたが、近年、科学技術省の進める地域振興制度の一環として、日本企業のアビー(千葉県流山市)とのコラボによって「セルアライブシステム」(細胞蘇生システム、CAS)がベトナムに技術移転された。セルアライブシステムは、独自の技術によって、収穫物の新鮮さを10年間も維持できるという。

この技術は日本をはじめ米国や英国、カナダ、メキシコ、韓国など世界中で採用されている。冷凍システムなどの一連の設備を導入するだけで稼働できる。システムの導入は2015年に向け、今後加速するとみられている。

この技術はベトナムの農産物の輸出の大きな突破口を開くと期待されている。たとえば、現在、空輸している南部の農産物についても、新鮮な状態のままトラックや列車で陸送できるようになる可能性もあり、農作物のコストダウンにつながる可能性もあるという。