オンライン決済600%増も 消費者習慣の変化、加速

新型コロナウイルスによる外出自粛により、オンラインショッピングや宅配の利用が急速に伸びている。同様にキャッシュレス決済の普及も加速しており、感染の予防をきっかけに市民の生活スタイルが一変しそうだ。

ホーチミン市人民委員会が、レストランの閉店や企業活動や集会の一時的な自粛を要請して以来、多くの企業がオンラインショッピングや宅配サービスに注力している。ル・バン・ビエット通りにある飲食店、トーチャ・ミルクティーショップの店員によると、デリバリー用アプリを使った注文はこの間に30%増加した。ケンタッキー・フライド・チキンとロッテリアも、電話やウェブ、アプリで宅配を注文すると、カウンターでオーダーするよりも1万ドン(約45円)程度割安になるなどのサービスを開始した。

新型コロナウイルスの感染防止に向け、多くの人がオンラインで買い物をするようになっている。地元のホアン・キム・アンさんは3月以降、ラザダなどの大手オンラインショッピングサイトで300万ドン(約13500円)を利用しているという。「グラブ・フード(大手配車サービスのグラブが展開するフードデリバーサービス)も、もっと多くの人が利用するようになると思う」と話した。ラザダによると、この1カ月で衛生商品の需要が激増しており、抗菌スプレーが160%以上、紙おしめやティッシュペーパーが60%、缶詰が50%の伸びを記録している。多くの消費者がオンラインで買い物や支払いをするようになるなど消費行動が変化したことで、オンライン決済は600%の増加になるとの予想も出ている。

窓口での注文など、人との接触を避けるだけでなく、多くの人の手を経る紙幣や硬貨に触れることを避けてキャッシュレス決済に移行する人もいるとみられる。こうしたなか、金融機関もさまざまな優遇措置を講じるなど、キャッシュレス決済への移行を促している。ベトナム国立銀行は、キャッシュレス決済の普及を進めるために、手数料を削減。50万ドン(約2270円)より少ない小額の銀行間取引の料金は72%引きにするなど優遇。ベトナム国家決済会社(NAPAS)によると、50万ドン(約2270円)より少ない小額の銀行間取引の3月の件数は、前月より32%増加するなど、キャッシュレス化へのシフトが徐々に進んでいることをうかがわせているという。他の民間銀行数行も、モバイルバンキング、インターネットバンキングの登録料、維持費不要を継続する方針だ。