ベトナム企業データベース始動 製造分野やすそ野産業の企業を網羅

ベトナム商工省はこのほど、国内の中小製造業やすそ野産業企業などの情報を集約した全国規模のデータベースの運用を始めた。今月19日、チャン・トゥアン・アイン商工相が参加して正式運用を祝う記念式典が開かれた。

データベースを構築するプロジェクトには、商工省産業局のほか、世界銀行グループ傘下の国際金融公社(IFC)、オーストラリア外務貿易省、スイス経済省経済事務局(SECO)が共同で取り組んだ。登録企業を分野別にみると、機械部門が約500社、自動車産業から347社、電機750社、繊維・衣料品製造が1145社、靴・皮革加工が910社となっている。

記念式典で、アイン商工相は、「国内の企業同士、さらにはベトナム企業と海外企業との連携を加速させる」とデータベースのねらいをと説明。企業や投資家が迅速に、正確な情報にアクセスできる環境を整えることを目的としており、「企業間協力を容易にし、ベトナムの企業と海外企業、多国籍企業との協力機会をふやすことを目指す」と説明した。

新型コロナウイルスの影響で対面式の活動がしにくい現状だからこそ、システムが有用になると期待されており、アイン商工相は、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)や欧州連合・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)など、ベトナムがこれまでに締結した次世代型の自由貿易協定が今後さまざまなチャンスを生むだろう。このデータベースの存在によって、ベトナム企業がそれらのチャンスを活かすことが、格段に容易になる」と強調した。

ベトナムの製造業及びすそ野産業は、海外から多くの投資を誘致してきたが、一方で国内サプライチェーンは、まだ抜け落ちている分野や部品も多く、地元企業が需要と供給のマッチングに苦慮する状況は変わっていない。

国際金融公社ベトナム事務所のカイル・ケルホファー代表は、「新型コロナウイルスが世界のバリューチェーンに大きな打撃を与えている瞬間にデータベースが始動することには、大きな意義がある」と強調。データベースの存在を通じて、国内企業と多国籍・海外企業とのつながりが深まると予想し、「それが実現すれば、新型コロナを迅速に収束できたことも手伝い、域内の製造加工業の核や集積地として、ベトナムの評価が高まるだろう」と期待を寄せた。