イオン、コロナ禍でもベトナム産品の輸出や国内販促に尽力 日本でライチ販売も開始

日本への輸入が解禁されたばかりのベトナム産ライチが先月、ぶじ日本に到着し、日本各地のイオングループ店舗で、6月23日から販売が始まった。新型コロナウイルスのまん延で、世界的に貿易が停滞するなか、イオンでは、ベトナム産ライチをはじめとした農産物の日本へのスムーズな輸入に尽力したほか、他国への輸出が止まってしまったベトナム産品の国内消費促進にも一役買ったという。

2015年以降、イオンは積極的にベトナム産農産物の日本への輸出を強化しており、マンゴー、ドラゴンフルーツ、コーヒーや自社ブランドの縫製品などを、日本全国で販売してきた。昨年6月にはハノイ市で同社のサプライヤーを集めた会合が開かれ、同社のベトナム法人、イオンベトナムの西峠泰男社長が、「さまざまな国からの貴重な商品を日本の消費者に届けたい。ベトナムから日本への輸出も増やしたい」などと説明していた。

ベトナム産の生ライチ果実は、今年はじめて輸出が認められた。新型コロナの影響で日越間の人や物の流れが停止し、一時は輸出が危ぶまれたものの、今期の収穫期に間に合った。甘味やジューシーさが特徴のベトナム産ライチは、品質と味を損なわずに消費者に届けるため、冷凍せず、生のままで空輸された。

ベトナムの農産物の日本への輸出や流通の成功の背景には、イオングループや、傘下のイオンベトナム、そして2700社を超える同社サプライヤーの努力があった。 イオンはベトナム商工省とも連携しており、製品の品質向上のためにサプライヤーらを支援し、日本をはじめとする海外の国々への商品紹介や輸出拡大にも力を入れてきた。

2017年には、イオングループを通じたベトナム製品の海外総輸出額は、約2億5000万ドルだったのが、2018年には3億3000万ドル、昨年は3億7000万ドルにまで増加した。前年のサプライヤーとの会合では、2020年に4億5000万ドルの輸出達成の目標を掲げていた。

イオンは、ベトナムの農産物の輸出促進を図るだけでなく、傘下のベトナム法人、「イオンベトナム」とその店舗を通じ、ベトナム産農産物の国内消費を喚起するための活動も、継続して行っている。そのため、ベトナム国内のイオン店舗では、通常時からベトナム産商品が、見つけやすい、便利な場所に陳列され、消費者の目に留まるような工夫がこらされている。

また、新型コロナが拡大しつつあった今年2月には、国境閉鎖により輸出が停滞し、行き場を失ったドラゴンフルーツ18トンとスイカ58トンをイオンベトナムが買い取り、わずか5日ほどで同社の流通網を通じ、ハノイ市やホーチミン市の大市場で販売できた。

同社はこれまでにも、ベトナム国内のスーパー流通網を活用し、貿易促進のイベントを実施してきたほか、商工省と連携し、ビジネスマッチングや、見本市、展示会などの開催を通じて、ベトナム産品の国内消費も支援してきた。同社は現在、ホーチミン市やハノイ市などに5店舗の大型商業施設を開業運営している。