ハノイの経済健闘 新型コロナ乗り越え

ハノイ市の地域別GDP(国内総生産)が、国内平均の1.3倍となるなど健闘している。同一市では、新型コロナウイルスの感染拡大によるグローバル・サプライ・チェーン崩壊の影響を最小限に抑えようと、国内産品愛用キャンペーンなどが展開されている。

写真㊤=国産品の消費に力を入れるハノイ市。5月に開催された経済関係の会議でブースを視察する市の幹部ら

ハノイ市には、30万社の企業があり、約1030万人が就労、就学する巨大な市場だ。ここでは多くの物が産み出され、無数の流通ネットワークを通して、国内各地はもちろん、海外に運ばれていく。しかし、新型コロナウイルスの影響で輸出や国内流通が大きな影響を受けた。

「ほとんどの企業、特に中小企業は、生産や販売、輸出において厳しい状況に直面している。ただし、国内では感染が抑制されたおかげで、生産、販売が正常に戻ってきた。売上をさらに伸ばし、新たな投資を呼び込むため、ビジネス上のつながりを強化することが必要だ」。ハノイ中小企業協会のマック・クオック・アン副会長は力を込める。

商工省ベトナム商業促進庁は、「国内の需要拡大に向けて、さまざまな活動を展開するために地域の関係者と協力している。長期的には、 国内企業を支援する計画作りや、海外との直接輸出の拡大に力を注いでいきたい」としている。

新しい生活スタイルのなかで経済成長を促進するには企業支援が不可欠とし、ハノイ人民委員会はこのほど、内需を刺激し、物やサービスの売上を伸ばす計画を打ち出した。今後、消費者の利益につながるイベント紹介や、企業支援に向けた販促活動を展開していく。グエン・バン・スン副委員長は、「しかるべき時期がくれば、内需の拡大や、国内旅行の需要を刺激する会議を立ち上げるよう指示を出す」と話す。また、ハノイ市も、農業ツーリズムや文化遺産ツーリズムなど、国内旅行需要を刺激する新たなプログラムをスタートとさせた。

ハノイ中小企業協会 のアン副会長は「公的な支援を受ける以上、国内企業は、商品を適正価格で提供し、アフターサービスを充実させたうえで、当面の困難に打ち勝たなくてはならない」と企業側の努力が必要なことも強調した。