アンファットHD、生分解性プラ工場建設へ=年産2万トン

国会で審議中の環境保護法改正案は、ベトナムのプラスチック廃棄物処理問題を解決するものとして期待されている。しかしながら、自然界の微生物により分解される「生分解性プラスチック袋」には明確な基準がなく、コストも高いことが、いわゆる「white pollution(ポリ袋公害)」を解決するボトルネックになっている。ベトナム経済ニュースは、この問題について、プラスチック製造のアンファット・ホールディングスの研究開発ディレクター、グエン・レ・タン・ロン氏に話を聞いた。

写真㊤=アンファット・ホールディングスの研究開発ディレクターであるグエン・レ・タン・ロン氏

―アンファット・ホールディングスはグリーンテクノロジーに投資を行っていますが、生分解性袋を市場投入する際には、どのような課題がありましたか

「当社は、完全に生分解する袋『AnEco』ブランドを市場投入する際に、困難に直面しました。ベトナム市場には『生分解性プラスチック袋』と表示する製品は多くあります。実際のところ、これらは通常のHDPE(高密度ポリエチレン)に、マイクロプラスチックへ分解しやすいように添加剤を加えたものであり、水や土に混ざって、動物が食べて、食物連鎖によって人間がそれらを食べるという意味では、従来のプラスチックより危険なものです。しかしながら、消費者は製品に対する十分な情報を持っていないため、これらを環境にやさしい製品だと信じているのです」

「また、もう1つの課題はコストが高いことです。生分解性袋の製造では、国際的に非常に高い基準が求められるため、原料を輸入しなければなりません」

「価格に関しては、もし当局が、環境にやさしくない製品に手数料や税金を課せば、環境にやさしい製品との価格差が縮まり、完全生分解性袋の利点を考えると、妥当性のある価格になると思います」

―消費者が生分解性袋を正しく見分けるためには、どうすれば良いと考えますか

「まずは、人々の意識を高め、生分解性袋の最適な使い方を指導する必要があります。加えて、各省の管理当局が、速やかに生分解性製品に関する規制を設けることを提案します。例えば規制では、部分的に生分解する、または完全に生分解するとみなされる基準や成分割合などを定めます。当社は技術的な課題解決だけでなく、管理当局とともに、こうした製品の基準や規制の設定にも積極的に取り組んでいきたいと考えています」

―生分解性製品を競争力のある価格で提供するために、アンファット・ホールディングスではどのような戦略を考えていますか

「競争力のある価格を実現するためには、まずは原料の確保が重要です。これまで当社は、生分解性コンパウンド材料の研究を行ってきました。そして、2021年までに生物由来材料を用いた工場を建設し、2022年には約1兆5000億ドン(約69億円)を投入して、生産能力を年産2万トンにまで高める計画です。この工場は、当社の生産性の向上と製品価格の低減に寄与するとともに、ベトナムの生分解性製品市場の拡大にも、間違いなく貢献するでしょう」