ベトナム、マレーシア市場拡大に期待感=コメなどの農産品で

新型コロナウイルスによる貿易や国内企業への影響が収まらない中、ベトナム国内では、マレーシアが今後有望な輸出市場として認識されている。

写真㊤=ベトナムがタイを抜いて、マレーシアのコメのトップサプライヤーに

2016年、マレーシアはシンガポールを抜いて、タイに次ぐASEANで2番目の貿易相手国となった。また2019年には、ベトナムとマレーシアの貿易総額は110億ドル(約1兆1600億円)を超え、ベトナムのASEAN向け貿易総額の19%を占めた。

マレーシア貿易開発公社(Matrade)ホーチミン事務所の貿易担当理事であるラフィ・Md・ラジィ氏は、「マレーシアの市場経済は急速に発展しており、世界で33位、アジアでは12位、ASEANでは3位にランクしている。国民1人当たりの平均所得は1万1200ドル(約118万円)だ。また、ベトナムが強みとするコメや果物、野菜、魚介類や香辛料といった農林水産品へのニーズがとても高い。繊維製品や衣料品、靴、オフィス家具の主要な輸入国でもある」と現状に触れる。

ホーチミン市貿易投資促進センター(ITPC)のグエン・トゥアン副所長は、「当センターでも、ベトナム企業にマレーシアを含む近隣諸国への輸出を拡大するよう促している」と言う。

また、ビヨンド・ワールド社の取締役、ルオン・ニャ・ヒエン氏は、「マレーシアはコメの主要輸入国であり、年平均で90万トンから100万トンの需要がある」と指摘。2019年、ベトナムはタイを抜き、マレーシア最大のコメの供給国となった。売上高は2億1880万ドル(約231億円)で、ベトナムの対マレーシア輸出総額の5.8%を占めた。

一方で、マレーシアは多民族・多宗教国家であり、イスラム教徒が人口の6割以上を占める。そのため、この市場への農産品の輸出は、国際貿易上の要件に加えて、ハラール基準を満たさなければならない。「ハラール認証を得ることで、ベトナム企業は、マレーシアへの輸出を拡大できるだけでなく、大部分のイスラム国家のサプライチェーンに参画することが可能になる」とMatradeのラフィ・Md・ラジィ氏は指摘する。

クアラルンプールにあるベトナムマーケットは、ベトナム製品がマレーシア市場に進出するための有利な条件を提供している。マーケットは、クアラルンプール中心部にあるサフアンプラザ(24階建て)の6つのフロアに出店している。ここでは、農産品や水産品、手工芸品、繊維製品、衣料品、機械、化粧品といった様々なベトナム製品が200のブースで販売されている。

マレーシアビジネス協議会のダト・テン・ビー・ハン会長は、「ベトナムとマレーシアは、ともにASEAN経済共同体とCPTPPの加盟国であり、ビジネス協力や貿易の面で協力できるチャンスがある」と期待を込めた。