ベトナム政府、今年度計画の公共投資、すべて実施へ

新型コロナウイルスの感染拡大で被った経済的打撃から回復するために、主要な推進力の一つとされるのが公共投資だ。ベトナム政府は今年度予定されていた公共投資をすべて計画通り実施することに加え、前年度以前から遅延していた計約280億ドル分の投資も、今年中に実施することを目指すと発表した。公共投資の加速で、2016~2020年の経済目標の達成につなげ、社会経済の発展を促進させる考えだ。

ベトナム経済研究所の前所長でもあるチャン・ディン・ティエン准教授は、「民間部門の投資が減っているなか、公共投資を加速することが、経済成長の勢いを維持するのに大いに役立つ」と指摘。「数百兆ドン規模の投資が行われれば、生産促進につながり、職が創出され、好ましい社会経済的効果がもたらされる」と話す。

公共投資は、2つの側面から国民総生産(GDP)の成長に寄与する。社会投資全体の4分の1の規模に過ぎないものの、経済に役立つ重要なインフラ構築に使用されているという側面がひとつだ。

もう一つが、プロジェクトが動き出すと、その一件だけではなく、大きな波及効果をもたらすという点だ。公共投資の実施で、企業や請負業者へとお金の流れができ、社会や経済の成長を加速させるのに効果的だという。

グエン・スアン・フック首相は、各省庁や関係部署、地方などに、公共投資を加速させるよう指示を出し、実現に向けて、様々な省庁や地方の公共投資の現状を調査する7つのチームが結成された。これらのチームは、フック首相や副首相、数人の閣僚らが指導するといい、公共投資が遅滞する地方には厳格なペナルティを課す。

各省庁や地方は、公共投資の目標の達成のため、さまざまな策をとっている。例えば務省は、資本金引き出しの管理を強化したほか、公共投資プロジェクトの管理や支払いなどに関する政令を制定。他の省庁や部局、地方などに迅速に資本を割り当てるよう指示し、その記録データをTABMISとよばれる「財務予算管理情報システム(TABMIS)」に入力するよう求めた。

2020年度中の公共投資加速について指示を受けた運輸省は、傘下部局にプロジェクトの評価と承認、入札計画、プロジェクト試算などを迅速化。請負業者の監督として、有能な役人を任命するよう求めた。また、商工省は、割り当てられた投資の大部分を2020年度の予算で賄うが、足りない資本については、各方面に支出の加速を文書で指示した。