輸入解禁も、依然高止まりする豚肉価格

豚肉価格の高騰が続いているが、ベトナム政府は、豚肉がベトナムの食生活に欠かせない存在であるため、タイから生きた豚の輸入を許可している。しかし、現状では、豚肉の輸入は価格の低下につながっておらず、記録的な高値が続いている。

写真㊤=豚肉価格は依然、高止まりしたままだ

豚肉業界では今後4年間で、10万頭を超える繁殖用の豚を輸入し、2019年のアフリカ豚熱の流行によって処分された豚の20%を繁殖させる計画だ。

輸入が開始された当初は、生きた豚の価格は下落した。北部では、1キログラム当たり85,000~91,000ドン(約390~417円)、中部では84,000~88,000ドン(約385~403円)、南部では85,000~88,000ドン(約390~403円)に下がった。

しかし、市場での小売価格は、依然として過去最高を記録。ハノイのキムリエン市場、タイハー市場、ナムチュンイエン市場、ランハー市場といった市民の市場では、1キログラム当たり14万~17万ドン(約642~779円)で販売され、ハノイ市内のスーパーでは、25万ドン(約1,146円)で売られている。

この異常な価格高騰の理由の1つは、輸入豚の価格にあると考えられる。商工省傘下の外国貿易庁は、「タイの畜産業者が、ベトナムの需要を受けて価格を引き上げている」と指摘する。ラオスやカンボジアを通過するための輸送コストも重なり、タイの豚は、国内豚と同水準の1キログラム当たり81,000~82,000ドン(約371~376円)で販売されている。

飼料生産会社デヒューズグループ・アジアのガボーア・フルーツ社長は、「ベトナムの生きた豚の価格は、世界でもトップクラスに高い。アフリカ豚熱の影響により供給量がまだ制限されているため、短期的に大幅に価格を下げることは難しい」と言う。オランダの金融機関ラボバンクによると、豚肉価格は、新型コロナウイルスの影響で、2020年も激しい変動が続くとのことだ。

農業・地方開発省は、豚肉供給の圧迫を抑えるため、国民に対して牛肉や鶏肉、タマゴを消費するよう呼び掛けている。

ベトナム統計総局によると、生きた豚の生産量は今年上半期、前年比8.8%減の160万トンになると推計される。