自動車市場、コロナ禍で大幅値下げ=「旧暦7月」の買い控えも影響

ベトナムの自動車業界は、新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされている。メーカーやディーラーは販売促進のために、多大なインセンティブの提供を余儀なくされている。

自動車業界は今年初め、新型コロナの拡大抑制に成功したことに加え、値引きや景気刺激策の効果もあり、活況を呈していた。ベトナム自動車工業会(VAMA)によると、今年5月の自動車販売台数は前月比62%増の19,000台超え、6月には前月比26%増の24,000台以上を販売した。7月は登録料が50%削減されたことで、さらに販売台数を伸ばした。

しかし、7月にダナン市で確認された新型コロナの発生により、販売台数は減少。8月に入ってから、自動車メーカーや販売会社は、多くの車種で値下げを始めた。とりわけ、登録料の割引措置(国産車に適用)を受けられない輸入車を中心に価格を下げた。

フォード・ベトナムは、登録料の50~100%割引や自動車本体の値下げを実施している。「エベレスト(Titanium 2.0L AT 4WD)」は最大2億ドン(約91万円)値引きされ、エベレストの他のグレードも6,000万~8,000万ドン程度(約27万~39万円)値下げされている。

TCモーターの販売店は、ヒュンダイ「コナ」に1,300万~2,000万ドン(約6万~9万円)の値下げを実施。また、顧客には純正アクセサリーも提供している。

ホンダ「CR-V 2020」やMG「HS/ZS」、マツダの「マツダ6 2020」、スズキ「エルティガスポーツ」といった新モデルは、1,000万~5,000万ドン(約5万~23万円)価格を下げたほか、一部の販売会社では、高級アクセサリーを提供している。

ベトナムでは、旧暦7月に、高額な不動産や自動車を購入することをタブー視する傾向があり、自動車業界は、旧暦7月が始まる8月19日以降は、さらに売上が落ち込むと予測している。需要の縮小は、こうした心理的な恐れと厳しい経済状況の双方から起こっており、自動車各社が売上や市場シェアを維持するには、値下げ以外の選択肢はほとんどない状況だ。