コロナ禍のベトナム経済、前年比1.8 %の成長見込む アジア開発銀

アジア開発銀行(ADB)は今月15日、新型コロナウイルス(Covid-19)の世界的な感染拡大の状況下で、今年のベトナムの経済成長が、前年度比1.8%上昇するとの予想を発表した。来年1年間の成長は、今年と比べ、6.3%増に回復する見込みだという。

アジア開発銀行のアンドリュー・ジェフェリーズ社長は、「国内の需要減と世界的な需要の低迷は、ベトナム経済に予想以上の影響を与えている」と現状を分析。しかし、ベトナム政府が新型コロナをうまく制御できていることから、「ベトナムのマクロ経済の安定や、経済環境の改善などで、次第に回復しており、2020年の経済成長は維持される見込みだ」と話した。

同銀行が刊行する2020年版のアジア開発展望報告書(ADO)などによると、中国からベトナムへと企業が生産拠点を変更するケースがあるほか、中国の経済復興や、欧州連合とベトナムの自由貿易協定(EVFTA)締結などのおかげで、ベトナム経済は順調に回復しているとされた。インフレ率については、今年は前年同期比で3.3%上昇する見込みで、来年も同3.5%にとどまるとした。

一方で、長期にわたる世界的な新型コロナの大流行は、しばらくは、ベトナムの経済成長に対する最大の脅威であり続けると分析。報告書は、「世界的な貿易の緊張状態も、ベトナム経済に対する脅威のひとつであり、今後、経済が悪化する可能性がある。また、世界の保護貿易志向も、財政リスクの増大につながる」と結論付けた。

発展途上であるアジア経済全体の成長については、今年は前年同期の0.7%減になると発表した。過去60年の歴史で、マイナス成長は初めてとなるが、2021年には、同6.8%の成長率を回復することができると期待した。