ベトナムの農産物の輸出促進に向けて、専門家は、「航空機や鉄道による貨物輸送によって輸送コストを削減し、競争力を高めるべきだ」と指摘している。

写真㊤＝ベトナム航空の機体に運び込まれる貨物（写真：nld.com.vn）

ベトナム商工省輸出入局のチャン・タイン・ハイ副局長は、このほどハノイで行われた農業企業と鉄道・空路をつなぐ会議で、「物流における課題が、ベトナムの農産物の優位性を低下させている」と指摘し、「農産物は自然のものであるため、物流プロセスは生産から収穫、加工、包装、保管、輸送、流通に至るまで、スムーズに流れる必要がある」と語った。

調査によると、ベトナムと国境を接する市場へ農産物や冷凍品を輸出する際、柔軟性とスピードの面から、道路輸送が最も選ばれている。2番目はコストが低い海上輸送で、遠方の市場や季節性が低い製品を輸出するのに適している。

現状、鉄道や空路による輸送はコストが高く、低付加価値の農産物には不向きであるためあまり普及していない。また、これらの輸送法は行き先が限られているため、柔軟性に欠くデメリットもある。

専門家は、「道路輸送は輸送料金が高く、収穫期には国境ゲートで渋滞が発生する。こうした道路輸送への高い依存度が、農産物の競争力に影響を与えている」と指摘。また、「新型コロナウイルスによって、空路や鉄道の貨物輸送の供給量が増え、（空路・鉄道貨物の）インフラやサービスの質の改善が迫られた」とも述べた。

ベトナム鉄道総公社（VNR）のグエン・チン・ナム企画事業部長によると、同社は農産物の鉄道輸送を拡大するために、近隣諸国と連携して路線図を拡大し、顧客に最も手頃なサービス料金を提供しているという。

ナム氏は、「鉄道による農産物輸送は普及しておらず、今年上半期に鉄道を用いて輸出された農産物は1万7400トンにとどまる。この数量は、業界の輸出貨物量全体の4％に過ぎない」と話す。

一方、航空会社も、貨物の輸送容量を増やすために旅客機を貨物機に転換し、輸送料金の低減を図っている。

ベトジェットエア・カーゴのド・スアン・クアン副社長は、「国内の航空会社は、海外の航空会社に比べて規模が小さい上、これまで貨物業務にあまり注目してこなかった面がある」と言う。統計によると、海外向けの貨物輸送では、外国の航空会社がシェアの9割を占めている。

クアン副社長は、「国内航空会社の貨物輸送料金は依然として高いため、コスト削減のために、貨物航空会社を分離して設立することも検討すべきだ」と述べ、さらに「農産物の品質を確保するためには、（製品の）保管・保存システムの開発への投資が必要である」と続けた。

農産物輸出入会社Vina T&Tのグエン・ディン・トゥン社長は、「貨物の空輸は海外の航空会社に依存している。ベトナムが直行便を開設するか、専用の貨物機を保有しない限り、物流コストの低減は難しい」と語った。