高まる「ベトナム産」需要 外資系スーパーが本腰

イオンやウォルマート、タイ系のセントラル・リテール、MMメガマーケットなど外資系の大手スーパーが、品質の高いベトナム産の食品に注目している。国内だけでなく、海外市場での需要が高まっていることが背景にある。国産品が、国際的なサプライチェーンに進出するチャンス、と政府や業界の期待は高まっている。

写真㊤=ベトナム産の商品がずらりと並ぶ外資系大手スーパーのMMメガマーケットの店頭。国内だけでなく、海外でもベトナム産の商品に対する需要が高まっている

国内15省に、20のスーパーマーケットを展開するMMメガマーケットは、農産物を中心にベトナム産の商品を大量に仕入れている。チャン・キム・ガー・ビジネス開発マネジャーによると、同社はラムドン省の省都ダラットにくだものの仕入れ施設、メコンデルタのカントーに水産物、ドンナイ省に豚を扱う同様の施設を建設することで、地域の農家と契約している。

ガー・マネジャーは「商工省の支援のもと、仕入れネットワークを北部とメコンデルタにまで拡大したい。すでにシンガポールやタイ、香港への輸出契約を結んでおり、メコンデルタへの進出は、ベトナム産品にとって大きな商機になるだろう」と話す。

商工省のチャン・ハイ副大臣は、このほど同省が開催した国内企業と海外の流通業者を結ぶオンラインのワークショップで、「新型コロナウイルスによる国内外の影響が続く中、安定したサプライチェーンを維持することは、火急の問題だ。とりわけ、農作物や食料品は切実で、国内の生産者と海外の流通業者をつなぐ努力を続けている」と強調した。

国内の生産者が、国際的な流通システムにおいて存在感を打ち出すには、商品やサービスの品質保証と長期的なビジネス戦略が不可欠だ。イオントップバリュ・ベトナム 商品本部本の福井智明シニア・ディレクターは、「流通業者は、安心な製品を提供するため、農場から食卓にいたる完璧なサプライチェーンの構築に努めている」と話す。イオングループは、淡水魚のチャーや農産品など多くの商品を買い入れてきた。パンデミックの影響にもかかわらず、今年上半期の輸出額は2億6800万ドル(約280億円)、年間では5億ドル(約520億円)に達する見込みだ。

また、MMメガマーケットのガー・マネジャーも、「会社は、個人の買い物客だけではなく、レストランやホテル、工場の食堂など、多くのところに食品を供給している。それぞれの市場のニーズに応じて、商品の品質を保証していかなくてはならない」と話している。