ベトナム米、アフリカ向けの輸出好調=自然災害などで現地供給が不足

ベトナム米のアフリカ諸国への輸出が急増しており、2020年後半から21年にかけてもこの傾向は続くと予測される。とりわけアフリカ西部は、自然災害や不作、政情不安、疫病により現地供給が不足しており、米の輸入需要が高まっている。

写真㊤=アフリカ向けの米の輸出はさらに伸びると予測される

ガンビア、マリ、ニジェール、セネガルとの貿易を担当するアルジェリアのベトナム貿易事務所によると、アルジェリアでは、米を栽培していないため、米の調達はほぼ輸入に頼っている。アルジェリアの人々はめったに米を食べないが、アジアからの労働者、特に中国人労働者が増加しているため、米の需要が伸びている。アルジェリアは年間、約10万トンの米を輸入しており、そのほとんどが長粒米だ(5%は砕いた米)。

ベトナムは2019年、アルジェリアに1万6394トンの米を輸出。輸出額は628万ドル(約6億6000万円)に上り、前年比で20.8%増加した。今年上半期には、輸出額は1458万ドル(約15億3000万円)に達し、北西アフリカ諸国への輸出総額の58%を占めた。現在、インドやタイ、パキスタン、タジキスタン、ウルグアイ、中国の米が、ベトナム米のライバルだ。

セネガルは1995年以来、国による米の独占を撤廃し、輸入自由化を行ってきた。干ばつのため、国内生産量は実際の需要の2割程度しか満たしておらず、毎年70万~80万トンの米を輸入している。大半は砕いた米だ。ベトナムは2019年に、セネガルへ9万6665トンの米を輸出。輸出額は3262万ドル(約34億3000万円)を超え、2018年に比べて輸出量は13.1倍に、輸出額は10.2倍に増加した。

今年1~7月の対セネガル輸出総額は、前年同期比77.2%増の2647万ドル(約27億8000万円)となった。ほとんどの製品が輸出額を減らす中で、米の輸出額は約18倍に伸び、1470万ドル(約15億5000万円)に達している。セネガル市場では、インドやパキスタン、タイ、中国、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、米国、マレーシア、カンボジアの米が競争相手となる。

米国農務省によると、今年、セネガルの米輸入量は125万トンに達する可能性がある。アルジェリアのベトナム貿易事務所は、アフリカ諸国の貿易政策の変化や米の需要、輸入規制、支払い要件などを、新型コロナウイルスの影響も踏まえながら注視している。ベトナム企業は、米の輸出に関する最新情報や米輸入業者の一覧を、ベトナム商工省のサイトで確認できる。

また、商工省アジア・アフリカ市場局は今年、海外のベトナム貿易事務所と連携して、アフリカ・中東諸国の可能性を紹介するオンラインワークショップを開催し、数百社のベトナム企業が参加している。