「一村一品運動」商品、市場開拓を加速

地域特産品などを活用して農村部の経済発展を図るベトナム版の「一村一品(OCOP)運動」が正式に始動してから約2年がたった。知名度などは広まっているが、活動はいま、新たな市場の開拓という大きな課題に直面しているという。

◇競争力強化の必要性
ハノイのニンソー村にあるタインハー農協は、ベトナムの一村一品運動で主導的な役割を果たしている存在だ。ブランド構築やイメージアップに注意を払い、「高品質の野菜生産地」という地位と評判を確固たるものにする努力を続けてきた。特に、芽もの野菜やサラダ用ベビーリーフは、安心安全をうたった「ビナサフル(Vinasafl)」のブランド名で、ハノイや近隣省のビッグCやイオンモール、MMメガマーケットなどの大手流通店で販売されている。これによって農協の収益は1ヘクタールあたり30億ドンに達し、地域の雇用創出にも大きく貢献している。

一村一品運動は、手工芸や農業生産分野の企業にとって、地域の可能性と真髄を最大限に促進し、活用する機会となっただけではなく、雇用を生み、農村部に暮らす人々に安定した収入をもたらした。ハノイ市農業農産局のター・ヴァン・トゥオン副局長は、「一村一品の製品を生み出すことは、最も厳しい品質基準で、伝統的な製造現場を現代化させる、重要な役割を担っている」と分析する。


一村一品運動の販売拠点に並べられたバッチャン陶器

◇販売拠点を開拓
ハノイ市は、これらの物産を市場にアピールし、より多くの購入へとつなげるために、一村一品商品の販売拠点開設に力を入れている。「今年の年末までに25カ所の拠点を開設し、来年1年間でさらに100カ所の販売所を設けたい」と、ハノイ市商工局のチャン・ティー・フオン・ラン副局長は話す。

これらの拠点は、農家や農業協同組合、製造加工企業などが、製品の販売を促進するとともに、他の地域の農協や企業と接点をもち、ハノイと他の地域が商品や人の交流を図る契機となる。「国が展開する『ベトナム製品購入運動』のゴールにもつながる動きだ」と、ラン副局長は期待を語る。

ハノイ市農業農村開発局のグエン・バン・チー農村開発部長は、「消費者に対してより品質のよい製品を提供し、生産者や市場との接点を増やすための様々な試みを行っている」と説明する。

ベトナム小売り協会のブー・チー・ハウ会長は、「一村一品」製品を販売し、市場や消費者らをつなぐ試みが今後、新たな製品の開発や取引の拡大などに貢献するだろうと予測。すでに、一村一品製品の65%が、スーパーやコンビニで流通するようになっているとして、「『一村一品』がすでに一定の知名度や評価を得た」と胸をはる。今後は製品の紹介と販売のためのコンサルティング展開や、電子商取引、ネット販売の促進活動などへと活動の幅を広げる考えだ。

ハノイ市には、1350の手工芸村があり、原材料などの産地証明を追跡できるよう、QRコードでタグ付けされた5000を超える商品がある。さらに、2020年年末までには800~1000種類の一村一品製品開発を目指している。