社員宅に太陽光発電装置導入 ベトナム電力総公社、普及の足がかりに

ベトナム電力総公社(EVN)は、屋上型太陽光発電装置の設置を加速させている。同社によると今年9月23日現在のベトナム国内の導入事例は約5万件、総発電量は1300メガワット時にのぼるという。同社では、自社社員の自宅への屋上型太陽光発システム電導入を促しており、家庭向けソーラー発電普及の足がかりになると期待している。

同社は労働組合の協力を受け、EVNグループの社員らの家屋に、屋上型ソーラーパネル発電設備設置を促している。社員が新規導入すると、3年間の分割払いプランで設置費の25%の割引を受けることができる。この計画によって新たに3000軒に太陽光発電用のソーラーパネルが設置されると試算している。

計画開発責任者の1人は、「太陽光発電がもっと広がれば、電力会社の設備投資費が抑えられ、ベトナムのエネルギー資源を持続的に発展させることができる。また、導入した世帯にとっても、節電などのメリットをもたらす」と期待する。

ベトナム電力総公社は、政府政策などにのっとったエネルギーリサイクルを大規模で実現させてきた先駆者的な存在だ。自社の関連企業の社屋屋上などにも太陽光発電システムを設置し、節電と電力の自己供給の実現を促している。このような公的機関や民間企業などの資本投資は、電力供給の増大に貢献し、雇用を生み、顧客にとってもベトナムの電力供給網にとっても、有益な高水準の太陽光発電市場を形成している。これは、今後の太陽光発電の拡大にも大きく貢献することだろう。

 

これらのいわば“身内”向けのサービスに加え、電力総公社は、企業や一般家庭にも太陽光発電導入の支援を展開している。企業などの太陽光発電事業への参入もより容易になり、透明性の高い、持続的な太陽光発電市場を作ってきた。

電力総公社のボー・クアン・ラム副社長は、ベトナムの太陽光発電に大きな可能性を見出しているといい、「従来のエネルギー源の発展が難しいなか、導入コストの安価な屋上太陽光発電は、発電業界における主流事業になった」と分析する。また、太陽光発電が各家庭やベトナムの電力供給にもたらし得る大きな利点に着目し、同社はより規模の大きな太陽光発電モデルを実現するための「EVNソーラー・プラットホーム」を立ち上げた。

これは便利なシステムや技術を組み込み、あらゆる規則や政策などに対応した経済アプリケーションで、屋上型太陽光発を行う顧客間での接続や交流が簡単にできる。顧客はこのアプリを通じて太陽光発電パネルやコンバーター、さまざまな技術や価格、設置業者などを比較でき、銀行や保険サービスなどについてもワンストップで情報を得ることができる。さらに、将来的にはこのプラットホームを利用して、生産された電力の売買取引も可能にする。

今後同社は、屋上型太陽光発電システムの設置条件をより好ましいものへと改善する。また、評判のよい信頼できる設置業者を発掘して顧客へとつなぐ活動を増強し、契約書の電子署名の実現など顧客の利便性の向上も図る。さらに、過去の指標の通知や電気代の明細書提供など、顧客向けのさまざまなサービスも、ベトナム版モバイルメッセージアプリ「Zalo」などを通じてペーパーレスで提供していく考えだ。