ベトナム、コロナ禍でも「魅力ある投資先」

政治的な安定性、急速で持続可能な経済成長、豊富な人的資源、恵まれた地理的条件などを背景に、ベトナムは着実に外国投資を引き寄せている。

■資本の誘致
計画投資省傘下の外国投資庁によると、今年ベトナムに投資された外国投資総額は、9月20日までの期間で212億ドル(約2兆2000億円)に達し、これは前年同期の81.1%に相当する。分野別のトップは、製造・加工部門の約99億ドル(約1兆400億円)で、全体の46.6%を占めた。続いては発電・供給部門で、43億ドル(約4500億円)を超えた(全体の20.6%)。

今年1~9月期で、海外の投資家はベトナムの60の省と市に投資した。バクリエウ省では、シンガポールから40億ドル(約4200億円)相当の液化天然ガス(LNG)プラントへの投資があり、最も多くの海外直接投資(FDI)を誘致した。2位はホーチミン市で32億5000万ドル(約3400億円)、3位はハノイ市で29億2000万ドル(約3000億円)だった。

年初から9か月間の外国投資総額は、新型コロナウイルスの影響で世界的な投資が落ち込んだため、前年同期を下回ったものの、競争優位性や投資環境、効果的な新型コロナ対策を背景に、ベトナムは引き続き、海外投資家にとって魅力的な投資先となっている。

多くの多国籍企業が、ベトナムでのビジネスや投資拡大に関心を寄せている。在外のベトナム駐在員事務所の報告によると、最大で126の大企業が投資先をベトナムへ移転したいと考えており、質の高い投資の流入が得られる大きなチャンスを生み出している。

■オンラインでの投資促進
計画投資省は今年に入ってから、日本やシンガポール、フランスなどのパートナーとの会合を含め、オンラインによる投資促進活動を強化してきた。

同省と駐フランスベトナム大使館、フランスの起業家が加盟するフランス産業連盟(MEDEF)が共同で開催した「ベトナム・フランスオンラインセミナー」には、70社以上のフランスの大企業の代表者らが参加し、フランスからベトナムへの投資促進の機会を探った。また、ベトナムと日本の投資マッチングセミナーも、1000社以上の日本企業の関心を集めた。同省は、2021年には、投資家が投資機会探索のためにベトナムを訪れることを期待している。

新たなFDIを呼び込むために、ベトナムの国会は、ベトナムでのビジネス規制を緩和するための改正会社法と改正投資法を可決した。また、国は土地・工場の汚染を浄化し、インフラの構築を進めるとともに、人材育成の加速化、専門家や熟練者の招聘、裾野産業発展の強化や、大規模で質の高いプロジェクトに対する特別なインセンティブを考案している。