ベトナム商工省は、長期的な国家産業振興プロジェクトの対象地域として、ラムドン省やタインホア省などの自治体を選定した。豊富な資金力で、特産品の生産などを支援するのが狙いだ。

■コーヒー産業の振興
ラムドン省は2018~20年の期間で、商工省のコーヒー生産支援プロジェクトに選定された省の1つだ。同省はこれらの支援を活用し、コーヒー製品の品質や価値向上に役立てている。

写真㊤=ラムドン省のコーヒー栽培は、国の産業振興プロジェクトによって生産性が向上した

同省商工局によると、コーヒー産業は、省の経済社会発展において重要な位置を占める。近年は、国際認証であるUTZ認証や4C認証を受けたコーヒーの栽培面積を大幅に拡大。省内のラムハ県、バオラム県、ラックズオン県、ズィーリン県には、5つのハイテクコーヒー栽培地域を設けた。

さらに同省は、ラムドン産コーヒーの価値を高めるため、世界的な農業バリューチェーンでコーヒーを広くPRするとともに、生産現場に対しては最新の加工機械の導入支援も行った。

2018年以降、商工局は、農村の12の施設に対し最先端の機械機器の導入を支援したほか、コーヒーの加工を行う事業所の見習い生300人に研修講座を実施して、経営能力の強化を図った。こうした支援の総予算額は34億ドン(約1500万円)だ。

■林産物加工業でも
一方、北中部沿岸地域のタインホア省は、林産物加工分野で商工省の支援プロジェクトに選定された。同省商工局のタインホア産業振興・省エネルギーセンターのホアン・スアン・フォンセンター長は、「プロジェクトの実施に向けてタインホア省は、デモンストレーションへの投資と林産物加工に用いる機械機器への投資という2つの課題に重点を置いてきた」と話す。デモンストレーションを行うことで、加工企業のニーズや問題点を明らかにし、国の管理機関に提案することが可能になる。こうすることで企業は、国の産業支援策やこれ以外の商工省の支援策にもアクセスしやすくなる。

国の主要な産業振興プロジェクトは、ベトナムが優位性を持ち、省や市の経済発展に大きく寄与する分野を基本とする。プロジェクトがもたらす影響について、商工省地方産業貿易庁のゴー・クアン・チュン長官は「繊維製品、衣料品、機械製品、農産品を生産する全国の農業産業施設の発展に大きなインパクトを与える。同時に、商工省はプロジェクトの推進によって、全国に産業集積地が形成されることも期待している」と語る。

同庁は、将来の国の産業振興計画の基礎として、プログラムの有効性を評価する立場にあり、2018~20年期の主要な産業振興プロジェクトの完了を加速するため、省や市と連携を図っている。