農林水産品輸出、20年目標の410億ドル達成へ

新型コロナウイルスの流行が輸出拡大を阻む中で、ベトナムの農林水産品輸出は、2020年の目標である410億ドル(約4兆2500億円)を達成するとみられる。

写真㊤=日本への輸出基準を満たしたライチを収穫する、バクザン省の農家(VNA/VNS)

世界中を襲った新型コロナは、ベトナム企業の生産、貿易に多大な影響を与えた。加えて、メコンデルタにおける干ばつや塩害、動植物の疫病の発生が、農業にさらなる試練を与えた。2020年の初めの数か月間で、主要農作物のほとんどが輸出を減らした。

こうした事態を受けて、グエン・スアン・クオン農業農村開発相は、「輸出目標を達成するために、私たちは柔軟な政策を打ち出してきた」と話す。

クオン氏は、「その政策が功を奏し、農林水産品の輸出額は2020年、410億ドルの目標を超えると予測される。米国やEU、日本、中国を含む約200の市場に輸出を行い、農林水産品の輸出において、ベトナムは東南アジアで2位、世界では15位となった」と続ける。同時に、新鮮なライチを日本へ、ザボンをチリへといったように、様々な果物を新しい市場へ輸出する道も開いた。

また、クオン氏は、特筆すべきこととして、コメの輸出が引き続き大きな伸びを示していることを挙げた。ベトナム最大の農村地帯であるメコンデルタは、歴史的な干ばつに見舞われながらも、収穫スケジュールを変更することで豊作となった。新型コロナの影響で食糧需要が急増しているため、ベトナムのコメ輸出も増加したという。

多くの市場から強いニーズを受けたことで、ベトナム産玄米の輸出価格が上昇し、現在は1トンあたり約500ドル(約5万1800円)となっている。とりわけ、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)といったFTAが、コメ輸出の機会を開いた。

同省のフン・ズック・ティエン副大臣は、「グエン・スアン・フック首相がEVFTAの実施計画を承認するとすぐに、私たちは農業分野のアクションプランを作成した。その結果、EVFTAが発効した8月から、EUへの農林水産品の輸出が、前年比で15~17%増加した」と語った。さらに、「引き続き、中国や米国、日本といった従来からの市場に焦点を当てている」とも述べた。

農業分野の輸出の約3割を占める木材製品は、新型コロナの影響を免れなかった。ベトナム木材・林産製品協会(VIFOREST)のド・スアン・ラップ会長は、「パンデミックの複雑な拡大に直面して、企業は新たな方向性を模索しようと努力してきた」と述べる。

「例えば、顧客に直接製品を販売したり、見本市で商品を宣伝するだけでなく、販売の場をアリババやアマゾンといったオンラインプラットフォームへ速やかに移行した。企業は相互連携を強化し、外部パートナーへの依存度を下げようとしている」とラップ会長は言う。

ラップ会長は、2020年の林産製品の輸出は、農業分野の全商品の中で最も力強い伸びを示すと予測しており、売上高は前年比11.5%増の126億ドル(約1兆3000億円)に達するとしている。