製造業改革には民間企業の努力不可欠 業界団体の新年会合でフック首相

グエン・スアン・フック首相は、7日、ハノイ市で開かれた商工業界団体の新年会に出席した。2020年の業績を総括し、新年の目標を設定するために開かれたもので、フック首相は、「民間企業の改革と発展が、ベトナムの製造業や商取引をさらに活性化、円滑化し、競争力あるものに育てるカギになる」と経営者らに奮起を求めた。

フック首相は、商業や製造業関係者らに対して、「長期的で、一貫した政策枠組みの確立」を求めると同時に、生産性や製品の品質、製造効率、競争力などを向上させるために、「最適な環境を整えてほしい」と要請した。

工業発展の面でいえば、ひとつの自然資源だけに依存するような、持続可能性の低い手法を減らし、化石燃料依存型の企業形態から、技術革新推進型の企業へと転換することが必要だと指摘した。

ベトナムと米国間の貿易については、政府が対米貿易赤字の縮小のため、抜本的に行動を見直していることや、原産国表示の不正、違法貿易などと戦っていることなど、実例を紹介。フック首相はまた、ベトナムが、米国とともに共同行動計画を実施に移すとの決意を明かし、「持続可能で、協調性の高い貿易収支の実現に向けて努力を続ける」と決意を語った。さらに、「金融政策の実施は、インフレを抑制させ、マクロ経済の安定を維持することがねらいとなるだろう」との見通しを示した。

会議での報告によると、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大にもかかわらず、ベトナムの2020年の海外輸出は前年度比で6.5%増加し、世界的に見ても高い輸出成長率を記録した。貿易収支は5年連続の貿易黒字で、過去最高となる191億ドルに達したと、商工省のチャン・トゥアン・アイン商工相が披露した。

アイン商工相は、ベトナムと各国・地域との自由貿易協定の交渉や締結が大きな成果をもたらし、国際規模での経済統合が、ベトナム経済を世界でもっとも開かれた経済へと変えてきたことを紹介。「ベトナムが主導し、多くの国々や地域が支持し、加わったことで経済の国際統合が進んだ」と評価した。現在ベトナムは、230の国と地域と貿易をしており、このうち60あまりの国や地域と自由貿易協定を締結しているという。

ただし、輸出額が右肩上がりであるものの、依然として市場や製品の多様性に乏しい現状は変わっていない。輸入品が一部の実用品分野にとどまっており、付加価値などの競争力よりも、価格の安さが重要視されることのほうが多いという。

アイン商工相は、「一部の産業が潜在的に環境汚染を引き起こすリスクをはらんでいる」「大規模なナショナルブランドが欠如している」などの問題提起も行った。