FTA発効、靴・レザー製品輸出に回復の兆し

新たな自由貿易協定(FTA)の発効などにより、靴・レザー製品業界では、2021年の業績回復に対して楽観的な見方が広がっている。

■新型コロナ対策も奏功
2020年1-7月期、靴・レザー製品業界は、原材料不足と輸出市場の需要激減により厳しい時期を経験した。

ベトナム革・靴・ハンドバッグ製造者協会のファン・ティ・タイン・スアン副会長は、「原材料の輸入が再開されても、生産を維持するのに十分な受注を確保できなかったため、業界は大変な困難に直面した。米国、EU、中国、日本といった主要な輸出市場からの受注は80-90%落ち込んだ」と述べる。

だが幸いにも、新型コロナウイルス感染対策の成功と近年締結したFTAによって、ベトナムの靴・レザー製品業界は徐々に回復しつつある。スアン副会長は、「EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)が発効した昨年8月1日以来、靴製品はその恩恵を受けている」と話す。商工省外国貿易庁によると、昨年は上半期の大きな落ち込みの後、下半期には靴・レザー製品企業の受注は回復し始めたという。

■貿易協定の効果
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)やEVFTA、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)、英国ベトナム自由貿易協定(UKVFTA)は2021年、靴・レザー製品業界にとって、大きな成長要因になると期待されている。

スアン副会長は、「新型コロナの感染が抑制され、これらの自由貿易協定のインセンティブを活用できた場合、2021年は15-20%の成長を遂げるだろう」と予測する。

また、ヴィン・イエン・シューズ社のレ・タイン・トゥイ会長も、「当社は2021年に飛躍的な成長を遂げる」と強気な姿勢だ。同社は、米国とEUに輸出されるスポーツシューズの6つの生産ラインを持っており、「現時点で今年2月までの受注があり、その後数ヶ月間の受注交渉も行っている」とトゥイ会長は明かす。

ベトナム革・靴・ハンドバッグ製造者協会の最近の調査によると、国際的なファッションブランドの6割が、ベトナムを世界のサプライチェーンの重要な一部と評価しており、国際的なバイヤーの42.3%以上が追加注文をしているか、近い将来追加注文をする計画があるという。加えて、靴・レザー製品の生産者は、現地調達率を平均30-40%にまで高めており、スポーツウェアや靴を含む主要な輸出製品では50%を超えることもあるという。こうした要因により、靴・レザー製品業界では、2021年の業績回復に楽観的な見方が広がっている。

2020年、ベトナムの靴・レザー製品の輸出額は推定200億ドル(約2兆1000億円)に達したが、目標の240億ドル(約2兆5000億円)には届かなかった。