新型コロナウイルスの感染拡大による市場縮小などで、ベトナムの農業従事者も少なからず打撃を受けている。そんなハノイ市郊外ハイズオン省の農家を支援しようと、地元でショッピングモールなどを運営するイオンベトナムは2月25~28日、ハノイ市内の4店舗で、ハイズオン省産の農産物を採算度外視の価格で販売するキャンペーンを展開した。この4日間で、43トンの野菜が廃棄処分などを免れたという。

ハイズオン産農産物の販促キャンペーンが行われたのは、大型スーパーマーケット、イオンのロンビエン店とハドン店、ハノイ市タインスアンにあるイオンマックスバリュ・リバーサイド・スーパーマーケット、紅河デルタ地方のフンイエン市にあるイオンマックスバリュエクスプレス・エコパーク店の4カ所。いずれも多くの買い物客らでにぎわった。

キャベツやコールラビ(アブラナ科の野菜)、ニンジン、トマト、グアバなどが、設けられた特設売り場で販売された。それぞれ4~5キロずつの袋詰めにされ、採算を度外視しひと袋が一律3万ドンという価格で販売された。ハイズオン省の農産物の安全性や品質のPRも兼ねて、取り扱う野菜は最高品質のもので、ベトナム版GAP認証を取得して栽培に取り組んでいるハイズオン省の農家や農協から仕入れられた。

イオンベトナム北部マーチャンダイジング・マネジャー、チャン・トゥ・クインさんは、「新型コロナの影響を受けてハイズオン省の農家が困っていることを知り、イオンベトナムは彼らと手をつなぎ、農産物の消費促進を図りたいと思った」と、キャンペーンを実施した経緯を説明。「感染状況が落ち着き、将来の見通しが明るくなり、ここの人々の生活も再び安定するよう願っています」と農業従事者らにエールを送った。

新型コロナの感染がもたらした複雑な状況のもと、イオンベトナムは、全国に展開する店舗網だけでなく、商品輸送の流通ルートにおいても、ベトナム政府が規定する感染予防策を実践し、厳しく徹底してきた。顧客である地域住民の協力も得て、安心して買い物ができる安全な環境の確保に尽力している。

新型コロナ感染が世界的に急拡大した昨年2月にも、イオンベトナムは農作物の救援活動を行っている。この時のキャンペーンはホーチミン市を中心に、ベトナム南部で展開。2月初旬の5日間の支援活動期間中、主に中国への輸出用で、国境貿易が封鎖されたために行き場を失っていたドラゴンフルーツとスイカ、計20トン近くが、国内消費に転換できた。

「地域に必要とされる小売業」を目指すイオンは、常に顧客ニーズを満たすための努力を重ねている。同時に人々の生活スタイルをより豊かなものにし、ベトナムの社会経済的発展に貢献することを目指しているが、その一環として行われた今回のキャンペーンは、ベトナムの人々の厚い支持を得たという。