衣料品・繊維分野、コロナ禍を生き抜くための「5つの解決策」

ベトナム繊維協会のヴー・ドゥック・ザン会長は、ベトナム経済ニュースのインタビューに答え、2021年の衣料品・繊維製品分野の見通しについて語った。

写真=衣料品・繊維製品分野は、サプライチェーンの連携を強化する必要がある

―2020年、衣料品・繊維製品分野にはどのような課題がありましたか
「新型コロナウイルスの感染拡大により、この分野は大きな課題に直面した。第1四半期は原材料の供給が滞り、事業の安定性や雇用に広く影響を及ぼした。加えて、人々の購買力の低下や小売店・スーパーの休業、支払いの遅れなどが、安定生産に重大な影響を与えた」

「こうした中、衣料品・繊維製品分野は解決策を講じ、企業は持続可能な発展に一層注意を払いながら、サプライチェーンの強化に重点を置いた。これらの取り組みの結果、衣料品・繊維製品分野の昨年の輸出売上は、352億7000万ドル(約3兆8000億円)に達した」

―衣料品・繊維製品分野は、2021年にどのような対策を実施すべきですか
「グローバルの需要が、2019年の水準には戻るのは2023年第4四半期とされるため、新型コロナの状況によっては、今年も厳しい一年になるだろう。こうした事態を打開するため、私たちは5つの解決策を考えた」

「まず1つ目は、世界の購買力が下がる中で、企業がこのニューノーマルの時代に適応すること。2つ目は、企業が市場のニーズや変化を学び、適切なソリューションを探して、困難に積極的に対処していくことだ」

「3つ目は、地域の国々やベトナムがFTAを締結した国と連携し、サプライチェーンのつながりを強化すること。これは、持続可能な発展に不可欠な課題だと私は考えている」

「4つ目は、持続可能な発展戦略を立てること。とりわけ、グローバルブランドや消費者のニーズに合わせて、ビジネスモデルを変えていかなければならない。企業は原産地証明や製品の安全基準にもっと注意を向けるべきだ」

「最後は、科学技術の活用がこの分野の重要な役割を果たすということ。特に紡績、製織、染色工程の自動化を進めるべきだ」

―ザン会長ご自身の見解を教えてください
「衣料品・繊維製品分野が安定して発展するために、政府と商工省は速やかに2030年から10年間の開発戦略を明らかにして、重点を置く分野と製品を特定すべきだ。加えて、企業は、原材料供給を積極的に行うために、サプライチェーンの構築を強化する必要がある。ベトナム繊維協会では、情報発信に力を入れて、企業の発展の基盤づくりを行う。特に、中小企業は受注確保のために、大企業との連携が必要だ」

「この分野が安定的に経済へ貢献し、多くの労働者を確保するためには、業界の仕組みや方針がオープンでなければならない。衣料品・繊維製品分野は今年、380億〜390億ドル(約4兆1000億〜4兆2000億円)の輸出売上を目指している」

「2019年11月、グエン・スアン・フック首相は2030年までに、世界市場で大きな影響力を持つベトナムブランドを少なくとも30にするとの目標を掲げた。目標達成のためには、財政投資やブランドプロモーションのための戦略計画が必要だ」