台湾資本で養殖用資材などのメーカー、グローベスト・ベトナム(Grobest)社はこのほど、国内の主要なエビの孵化場と協力関係を結んだ。この協力によって、エビ養殖業者に対し、品質が高く、漁獲量の多いエビの幼生など、多様な品種を安定的に供給できる体制を整えるという。

グローベスト社は約40年にわたり、養殖エビ用の飼料開発の経験をもつ。このノウハウに、エビの卵を孵化させることに特化させてきた孵化場の実地経験が加わることで、高い品質を維持しながら、エビ幼生の生産を最適化できるという。プロジェクトに加わったのは、トントゥアン、チュオンティン、ナムミー、レ・スアン・ベイ、チャン・ハウ・ディエンとシュリンプ・ベトの6カ所の孵化場だ。

グローベスト社コンサルディング技術サービス部門を担当するグエン・ヴァン・カイン部長は、「エビの幼生は、収穫の成功のカギとなる要素だ」と話す。だが、現時点では、ベトナムのエビ養殖業者が、品質のよい幼生の供給先を選択したり、売買のために接点を持ったりすることがとても難しい。

この現状をふまえ、グローベストは、エビ養殖業に対する技術支援や栄養面など総合的な養殖コンサルティングを企画。このなかで、評判のよいエビのふ化業者と協力し、品質のよい、成長の早いエビの幼生を選んで入手できるよう、エビ養殖業者を全面支援する。

同社が提携した孵化業者は、どれもとても評判がよく、適切な運営を行っている組織だというだけではない。グローベストが施設内部まで精査し、同社の求める厳しい基準に適合すると確信できた業者のみを選定した。

同社は孵化業者とともにエビの種親を厳選、幼生の成長の各段階に合わせて配合を変えた適切なエサを与える。さらに、幼生が稚エビに成長したのちの品質まで追跡監視し、グローベスト社が定める基準に適合するか確認する。

これまでに行われた試験では、このグローベスト社と孵化業者協力で、これまでより耐性のあるエビが養殖できたという。養殖業者らからは、「養殖期間が短縮できた」「エサ代などの経費が節減できた」などの報告もあったという。特記すべきなのは、養殖エビの大きさで、幼生が成長して「1キロあたりのエビ頭数30匹」という基準に達するまでの日数が、たった90日に短縮されたという。

今後、グローベストの選定したエビ幼生は、「グローベスト基準に基づいて生産」と明記のうえ市場にも出される予定だ。農産物などですでに始まっている原産地証明や品質証明などに値する試みで、養殖業者らは今後、市場でエビ幼生を購入する際の生産者や品質を選定する悩みから解放されると期待する。

農業農村開発省によると、新型コロナウイルスの世界的感染拡大にもかかわらず、ベトナムの昨年のエビ輸出は38億5000万ドルに達し、前年度と比べて15%増加となった。昨年発効されたEUベトナム自由貿易協定なども、エビをはじめとするベトナムの魚介類輸出の促進に大きく寄与すると見られ、ベトナム国内では、エビ養殖の技術支援などに対する注目が高まっている。