FDI再開へ明るい兆し、コロナ後はさらなる成長期待

ベトナム当局は今年初め、外国直接投資(FDI)の投資証明書を多数交付しており、今後、年間を通したFDI誘致のさらなる進展が期待される。

写真㊤=多くのFDI企業がベトナムで事業を展開している

◇フォックスコンも投資
グローバルで投資の流れが変化する中、ベトナムは、政治的・マクロ経済的な安定性、地理的優位性、豊富な人的資源などの面から、魅力ある投資先として注目を集めている。

例えば、南東部のドンナイ省は、2021年の最初の13日間で、2億2600万ドル(約248億円)を超えるFDIを誘致した。これには3つの新規プロジェクトと8つの既存プロジェクトの増資が含まれるが、過去5年間の同時期と比較して、最も高額の投資となる。

また、1月18日には、北東部のバクザン省が、総額約13兆ドン(約620億円)の4つのプロジェクトに対する投資証明書を交付した。そのうちの1つはフォックスコン社のフーカン・テクノロジー工場であり、登記資本金は6兆2300億ドン(約297億円)。敷地面積は22ヘクタールを超え、年間約800万台のiPadやノートパソコンの製造・組立を行う。

計画投資省によると、ベトナムの多くの外資系企業が回復途上にあり、事業拡大に向けて準備を進めている。大手企業だけでなく、中小の外資企業もベトナムに関心を持っている。フォックスコン・シンガポール社のゼネラルディレクターであるジュオ・シエン・ホン氏は、電子機器の製造拠点探索のため、代表団をタインホア省に派遣した。同社は、工場用地として、工業地帯の150ヘクタールの土地に13億ドル(約1425億円)の投資を検討しており、そこでは10万〜15万人の従業員を雇用し、およそ100億ドル(約1兆961億円)の年間輸出額を目指している。

2020年後半に開催された韓国の投資家が参加した投資促進会議で、ヴィンフック省の代表者は、「2つの大規模な新規FDIが発表された後、多くの大手企業が地方の外国投資政策に関心を寄せるようになった」と指摘した。

◇新たな投資迎える準備
ベトナム外資系企業協会のグエン・ヴァン・トアン副会長は、「2021年は、大手企業だけでなく、日本や韓国、米国といった先進国の中小の投資家によるベトナムへの投資シフトを期待している。FDI投資の流れは、新型コロナウイルスの感染が抑制されれば、力強い成長を再開させるだろう」と語った。

しかしながら、ベトナムが新たな投資を迎えるためには、製造拠点と人材を準備する必要がある。計画投資省外国投資庁のド・ニャット・ホアン長官は、「ベトナムは、量より質を重視した新たなFDI戦略を導入すべきで、高付加価値製品を生み出し近代的な経営手法を用いたプロジェクトや、国内企業だけでなくグローバルサプライチェーンにつながるプロジェクトを優先すべきだ」と指摘する。

さらに、「大規模プロジェクトや戦略的投資家、多国籍グループを誘致するため、競争力のある優遇措置が採用される予定だ。時代遅れの技術であったり、環境汚染を招いたり、天然資源を集中的に使うようなプロジェクトは拒否されるだろう」と続けた。

今年初めには改正投資法が施行されたが、同法では、FDIの選択的誘致を確実にするために、首相が特別なインセンティブを提供できるほか、インセンティブの対象となる事業範囲も拡大させた。

外国投資庁によると、2020年には約300の外国企業が、ベトナムでの事業拡大を計画、もしくは投資機会を探索しており、このことはベトナムが外国投資家にとって安全な投資先であることを示している。