世界第2位のコーヒーの生産、輸出国、ベトナムで、コーヒー業界の苦境が続いている。新型コロナウイルスの影響で生産量と輸出が低迷する中、加工分野に投資したり、ネット販売に進出したり、新たな活路を求めている。

写真㊤=コーヒーの生産、輸出で世界第2位のベトナム。海外のスーパーマーケットでの販売にも積極的に進出している

農業農村開発省によると、ベトナムは、ロバスタ種のコーヒーの世界最大の産地。世界中では1日30億杯のコーヒーが売れており、うち20%をベトナムのコーヒーが占めている。それが今、新型コロナウイルスの世界的な流行で打撃を受けている。コーヒー産業に携わる64万人の人々の暮らしを支えるため、業界では長期的戦略の練り直しを余儀なくされている。

国内メーカーのティンギア・コーポレーションやインティメックス・グループはこ、多様化する消費者ニーズへの対応や自由貿易協定を結ぶ国々への輸出拡大を目的に、インスタントコーヒー工場に相次いで投資。これまで加工分野への投資はネスレやオーラム、カフェゴン、タタなど大手の海外勢が中心だったが、今後は国内勢の動きも加速しそうだ。また、新たな業態として、10~20の店に宅配する小規模なコーヒー焙煎、豆挽き業者も急増している。

インターネットを通じた取引も加速する。国内の商品取引所に加えて、原油や穀物の先物やオプションなどを主とする電子取引所、インターコンチネンタル取引所(ICE)傘下のニューヨーク商品取引所などでの取引も盛んになった。

またネット通販に進出する企業も。国内のコーヒーメーカー、チュン・グエン・レジェンドはこのほど公式のオンラインショップをアマゾンマーケットプレイスに立ち上げた。海外進出に向けた大きな一歩と位置付け、半年以上にわたってリサーチを続けてきたという。同社は「まだまだ先は長いが、すでに成果は出ている。ネット通販は今後、より盛んになると確信している」と意気込んでいる。