ベトナム製品の国内消費奨励にハノイ市が尽力 新型コロナ後の経済回復加速を支援

国内消費を刺激するねらいで、ベトナム国産商品の購入を市民らに奨励する「ベトナム製品購入キャンペーン」において、国内最大の消費市場であるハノイが活動の活性化に尽力している。企業交流会などの展開で販促活動を行う一方で、粗悪品などの取り締まり強化に乗り出し、新型コロナウイルスの大流行後のベトナム産業や経済の回復加速につなげる。

◇国産商品の購入を奨励
ハノイ市人民委員会によると、同市の域内総生産(GRDP)の成長は、1~4月の2021年度第1四半期に、前年同期比5.17%のプラス成長を記録した。昨年同期の成長率が4.13%増だったのと比べると成長率は約1.25倍になっていた。

第1四半期のハノイ市の予算収入は総額72兆4000億ドンで、政府目標の30.8%に達した。一方で、支出は予定の約11.6%の12兆5600億ドンで、昨年同期の支出の91.9%に抑えられている。

これまでに採用された国内消費のさまざまな刺激策のおかげで、今年3月の商品サービスの小売部門総売り上げは、前年2月と比べ1.9%増、同3月と比べても1.6%増で、総額46兆ドンに達した。このことで、今年第1四半期の小売部門総売り上げは、前年同期比の3倍にあたる145兆9000億ドンとなった。商品の供給は十分あり、品ぞろえも豊富で、価格も安定。テト(旧正月)の時期も商品の品切れ状態は発生しなかった。ハノイ市は、新型コロナの影響を受けた省や市、地域とハノイ一帯の間で、農産物や水産物の消費をスムーズに結びつけることに成功したと自信を示す。

◇国産製品が市場で勝利!
商工省(MOIT)の国内市場局によると、コープマートやヴィサン、ビンマート、BRGリテールなどの大手小売りチェーンでは、自社の店舗で扱うベトナム製品が、すでに全体の60~96%を占める。外資系スーパーやコンビニエンスストアなどでも、ベトナム製品の割合は60%超になっている。

セントラル・リテール・ベトナム社のグエン・チー・ビック・バン広報部長は、地元密着を目指す同社のスーパー、「ビッグC」では、扱っている4万5000種の日用生活用品のうち、「ベトナム産の商品は実に9割を超える」と説明する。

ベトナム製品がこれだけ市場に増えるようになったのは、新型コロナの流行により、サプライチェーンや貿易の流れが停滞して商品消費が国内に向かったことに加え、ベトナム国内の流通市場が、積極的に国内メーカーのためのセーフティネットを提供したことによっても実現したといえる。 例えば、大規模な小売業者などは、感染拡大の進展を予測して在庫を調整し、商品の不足や必需品の値上げなしに、スムーズな商品流通を実現したと評価される。

ベトナム製品購入のキャンペーンを主導するベトナム祖国戦線ハノイ支部のグエン・ラン・フオン委員長は、「ハノイは首都として、ベトナム経済の回復と成長を支援する必要がある。国内市場でのベトナム製品の消費促進をさらに活性化させるつもりだ」と話す。 その実現のために、全国各地の省や都市との協力する体制を整え、国産商品の販促機会を設ける計画。さらに、首都と他地域との間に供給と消費を持続できるかたちの流通ネットワークを構築することで、ハノイだけでなく、全国の経済回復に貢献したいという。

◇残る課題も
ベトナム製品購入キャンペーンは今のところ効果を現しているが、まだ限定的な側面もある。製品の商標やブランドの保護、偽造品や密輸品、粗悪品の存在、また、食品などの衛生面や製品の安全性の欠如などが課題として存在する。

そこで、重要な役割を果たすのが、1千万人を超える人口を抱えるベトナムの一大市場であるハノイ市だ。消費地であることに加え、ハノイには商品を一時的に保管したり、他地域や海外市場に送り出したりできる最先端の流通ネットワーク拠点でもあるからだ。

フオン委員長は、キャンペーンがより効果的に実施されるために、「ハノイ市は今後、品質の高いベトナム商品を消費者にPRし、企業に対しても、柔軟な販売方法を採用し、遠隔地や過疎地などへの商品供給を促していく。工業団地や海外向けの輸出加工区などの活用も促す」と話す。さらに、販売促進のための展示会を開催、販売価格の割引戦略や国内消費の刺激策なども導入する予定。海外向けにも、新たに流通網を構築していく考えを示した。

さらに、関連省庁などとも連携し、企業が新型コロナによる打撃から立ち直れるように、免税施策やローン返済の猶予などを採用する。また、模造品などの違法商品や粗悪品などの取り締まりを強化し、インフレ抑制のために生活必需品を中心とした商品の価格安定するよう、市場の監視を徹底させる。