ペトロベトナム、年初の計画上回る成長 好調な事業運営を維持

ベトナム石油ガスグループ(ペトロベトナム)は、今年1~4月までの4カ月間で、生産や企業運営上の障害を取り除く継続的な努力が奏功し、年初に設定された目標の多くを達成したと発表した。世界的な経済の冷え込みのなかでも、石油生産を推進したことが奏功し、需要が低迷で減産せざるを得なかった天然ガス分野の収益減をカバーした。

◇安定と発展
新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響で経済が停滞し、石油の需要が不安定になるなか、世界的な石油・ガス生産企業の多くは困難に直面し、損失を計上した。そのなかでペトロベトナムは、石油価格の維持を視野に石油の生産量を維持した。今年4月の石油生産量は当初計画より7%多く、1~4月の第1四半期の生産量としても計画を1%上回った。

この4カ月間のグループの連結売上高は、年間計画の約35%に相当する約124兆4200億ドンだった。当初計画と比べると約21%増え、昨年同期比だと47%増えた。国営企業である同グループの国家予算への納入額は、27兆7000億ドンにのぼるとみられ、4カ月計画も、年間計画も、上回る金額となったという。

グループの収益も計画を上回り、4カ月間の税引き前利益は計画の約2.5倍にあたる15兆4200億ドンに達した。これは年間計画の税引き前収益の実に94%に相当する。

これらを受けて、国際的な企業格付けのフィッチ・レーティングスはこのほど、ペトロベトナムの評価を「安定」から「強含み」と変更。信用格付けも「BB +」とした。また長期発行体デフォルト格付(IDR)を「BB」とした。この評価の引き上げは、新型コロナウイルスの感染拡大と2020年の世界的石油価格下落の二重の課題に対して、的確に対応したペトロベトナムの業績を正しく認識したものだった。

ペトロベトナムが計画を達成して国家予算に寄与し、将来的な発展の実現に向けて利用できるだけの内部留保を増強できたことについて、同グループのレ・マイン・フン最高経営責任者(CEO)は、「好調な経営結果に希望がもてる。年末まで維持したい」と話した。

◇安定した生産とビジネス展開
今年第1四半期の生産と業績を報告したオンライン形式の社内会議で、ペトロベトナムのフンCEOと取締役会は、今後の方針も提示した。これには、石油掘削時の安全の徹底▽採掘量と備蓄量の増加▽生産コストを引き下げるための経営管理の強化▽採掘効率の向上―などが含まれた。また、傘下の肥料製造企業に対しては、需要増加で追い風となっている市場動向を生かして増産に転じ、天然ガスの消費を増やすよう求めた。

フンCEOは、この4カ月間に、グループが労働環境の安全性質を実現し、生産と事業が安定し、スムーズに運営されてきたことで、ベトナムの社会経済の発展に寄与できたと強調。「企業の好業績の理由の3割は原油価格の維持によるものだが、残る7割は、事業効率を改善してきたグループ全体の努力の結果だ」と社員らを称えた。

好調な業績を今後も維持するため、フンCEOは、傘下企業らに対し、現在も続く新型コロナウイルスの感染拡大や変異株がもたらし得るリスクを的確に評価し、為替の動向やインフレ率の変動などのマクロ経済的要素を観察するよう指示。グループが生産や事業活動に充てられる財務資産を的確に試算するよう求めた。また、効率のよい、安全な生産を確保しつつ、市場に訪れる好機を逃がさぬよう準備を怠らないようにと指示。支出と収益の変動の分析を継続し、事業経営の効率化を図るなどとした。