物流コスト削減へ 道路や内陸貿易港の整備が必要

エジプトのスエズ運河で今年3月、大型コンテナ船が座礁して運河が封鎖され、物流コストの急騰や世界の貿易の混乱が生じた。大きな影響を与えたこの事案は、ベトナムに物流の重要性を再認識させ、貿易活動の促進のために、国内の物流コスト削減策が強く求められるようになった。

◇高い物流コストの原因は?
近年、ベトナムの物流コストは3~4倍に上昇しており、ベトナムの商売の競争力を著しく低下させる要因となっている。

ベトナム運輸省によると、十分な調和を考慮せずに行われたインフラ整備が、ベトナムにおける物流費高騰の一因だという。ベトナム国内の道路は総延長が63万キロメートルに及ぶが、このうち高速道路は2000キロにしかならない。にもかかわらず、商品の80%は陸路輸送なので、高速道路網を完成させることが不可欠だ。また、鉄道輸送システムも時代遅れで、港湾などとの接続ができておらず、国内水路システムも効果的に開発されているとはいえない。高速道路と海岸の港湾をつなぐ道路の整備不足などに加え、港から離れた場所で梱包や通関手続きなどができる「内陸貿易港」や物流センターなども足りないのが現状だ。

過去数年間で海上輸送は大きく発展したが、いまだに建築資材や鉄鋼、鉱物など、急いで配送する必要がなく、商品梱包や保存の心配のない、大量輸入商品での利用が中心となっている。

一方で、迅速な輸送が必要な商品、例えばベトナムが生産し、海外輸出している電子機器などのためには、航空輸送の需要も急速に高まっている。かつてに比べれば空輸コストは下がってはいるものの、こちらも貨物輸送用の飛行機の便数不足という課題を抱える。

陸路を使った輸送は、その柔軟性とスピード感から、ベトナムで最も使われている物流手法だ。特に、ベトナムと国境を接する各国への輸出では、この手法が最も多い。だが、陸路輸送に頼り過ぎで、トラックによる不合理な長距離輸送が行われている現状などがあり、これも輸送コストを引き上げる一因となっている。

◇物流改善の策は?

商工省海外貿易局のチャン・タイン・ハイ副局長は、物流サービスの発展を促進し、輸送コストを引き下げるためには、短期的には、各省や市などが物流センターを建築することが解決策になると主張する。長期的な課題解決策としては、あらゆる輸送手法の効率化▽運輸や交通インフラの整備と強化、改良▽交通網の接続性をよくする工夫などを挙げる。

ハイ副局長はまた、行政改革や行政が求める手続きの電子化を促進する必要性を強調。さらには「業界における人材の訓練と質の向上に十分配慮することも必要だ」と訴える。

ベトナム経済法科大学、国際経済関係学部のグエン・ホアン・ズン准教授は、「政府は、高速道路料金など、あらゆる税金と料金を見直す必要がある。加えて、物流コストを削減し、ベトナム企業とその商品の競争力を向上させる解決策を考案するべきだ」と提案する。さらに、政府に対しては、「特別政策の発効などによって、国としての物流発展の適切な方向性を示す必要がある」と求めている。