南部経済圏、裾野産業育成へ連携強化、財政支援も

ホーチミン市やビンズオン省、ドンナイ省といった南部経済圏では、外資系企業のサプライチェーンへの参入を加速させようと、裾野産業育成への支援に力を入れている。

写真㊤=南部経済圏の自治体は、裾野産業への投資誘致を重要視している

◇ポジティブな変化
ドンナイ省商工局によると、2021年1~4月の裾野産業の生産額は111兆ドン(約5300億円)を超え、同省の工業生産額全体の20%以上を占めた。また、同時期にFDIを行った企業の投資額は4億5100万ドル(約493億円)に上り、大部分はエレクトロニクス分野の裾野産業や機械設備、繊維、衣類、履物産業に投資されている。

過去10年間、ドンナイ省は裾野産業へのFDI誘致に成功してきた。外国投資を受けた裾野産業製品の6割以上が、米国、日本、韓国や欧州に輸出されている。多くのFDI企業は、航空機、自動車、ロボット、機械といった分野で、インダストリー4.0の技術を用いてグローバルのサプライチェーンに参画している。

ビンズオン省人民委員会のマイ・フン・ズン副委員長によると、同省では、約2300社の企業が裾野産業の分野で事業を展開している。内訳としては、繊維・衣類が442社、皮革・靴製品が172社、木材加工が593社、エンジニアリング分野が710社だという。同省はバウバン県に1000 1,000ヘクタールを超える工業団地を建設し、とりわけ裾野産業へのFDI案件を優先している。同省商工局のグエン・タイン・トゥアン副局長は、「裾野産業の育成は、工業製品の生産能力の向上、現地化率の引き上げ、原料の輸入依存度の低減、輸出品の付加価値向上を実現するための主要な解決策の1つである」と述べている。

そのほか、ホーチミン市商工局では、2020年の優れた工業・裾野産業製品を92点表彰している。

◇市や省を越えて
ホーチミン市は、2019年から2025年の期間で、裾野産業の発展を促進するためのプログラムを実施している。企業が国内外の市場で競争力を得るために、先進的な設備を導入したり人材を育成したりして、グローバルサプライチェーンに徐々に参入するための良い条件を作り出している。

サイゴンハイテクパーク(SHTP)管理委員会はこのほど、ドンナイ省、ビンズオン省、ロンアン省、バリアブンタウ省の工業団地当局との間で、裾野産業育成のための地域協力協定を締結した。協定では、互いに連携や協力を強化し、南東部や全国に投資する外国企業のサプライチェーンの一部を担うために、国内の裾野産業企業に向けたエコシステムを共同開発することを定めている。

また、ドンナイ省人民委員会は、2020年から2025年における裾野産業の発展計画を打ち出した。同省は、国の奨励金とは別に、中小の裾野産業企業が工業団地のインフラを利用したり、工場をレンタルしたりする際の財政的支援を行う。また、2025年にかけて、同省はチャンボム県とヴィンクー県に裾野産業専門の工業団地を建設する予定で、ここでは、企業は製品の販売や人材育成の面で支援を受けることができる。