デジタル経済の進化、ブランド保護に一層の注意を

デジタル経済が進化する中、ベトナムの中小企業には、自社のブランドやデジタル資産を守るための助言が必要だ。

写真㊤=企業はデジタル経済では、自社のブランドを積極的に守る必要がある

◇知的財産への関心低く
第4次産業革命の流れにおいて、自社のブランドやデジタル資産、知的財産を守ることは、中小企業にとって重要事項だ。

だが、ホーチミン市の約4000 4,000社を対象にした調査によると、企業のうち、知的財産分野の人材育成を行っているのはわずか1.63%で、知的財産に関する社内規定を設けている企業も2.25%にとどまった。これは企業、とりわけ中小企業が、知的財産に関心を示さず、事業運営におけるデジタル資産の役割を認識していないことを意味する。

スマートトランスフォーメーション分野の研究グループリーダーである、ロイヤルメルボルン工科大学のグエン・クアン・チュン博士は、「ベトナムの中小企業は、デジタルトランスフォーメーションの初期段階にあるにすぎず、コーポレートガバナンスの不備、イノベーション能力の低さ、資金調達の難しさ、かさばる経費によって多くの課題に直面している」と指摘する。

さらに、「政府や企業自身が適切な解決策を打ち出さない限り、彼らはこうした課題から逃れられない可能性がある。デジタルトランスフォーメーションでは、企業は生産プロセスを改良し、装置を再構築するとともに、リスクや紛争を防ぐために自社のブランドを育てて保護する必要がある」とチュン博士は続ける。

◇技術支援生かして
科学技術省知的財産庁のディン・フゥ・フィ長官は、「デジタル経済の中で、中小企業が知的財産権を活用して競争力を高め、強靭な事業運営ができるよう支援を行っていく」とその姿勢を語る。

だが、課題に直面するベトナム企業は、より一層、知的財産に注意を払う必要がある。例えば、米国企業5社が「ST25米」の商標出願を米国特許商標庁に申請した件では、ベトナムから米国へのST25米の輸出に影響を与えるのではないかという懸念を引き起こし、商標保護の必要性を考える契機となった。


ST25米はホ・クアン・キュア氏らの25年にわたる努力の成果だ

デジタル経済において、アマゾン、グーグル、Momo、Tiki、KPMG、FPTソフトウェア、TraceVerifiedといったテクノロジー企業は、電子商取引・電子決済のソリューションやオンラインプラットフォームを提供しているが、こうしたサービスは、企業がデータ保護、バーコード、電子決済、トレーサビリティ、ブロックチェーンへの理解を深めるのに役立っている。

さらに、米国国際開発庁(USAID)のマッチング支援プロジェクト「LinkSME」を活用すれば、企業は信頼できるブランドやデジタル資産を構築し、保護するための技術支援を受けることができる。ここでは、マーケティング戦略や製品のトレーサビリティ技術を学ぶことができ、それによって電子商取引への参画や新しい市場へのアクセスが容易になる。

専門家は、「企業は自社のブランドやデジタル資産に一層注意を払うとともに、テクノロジーの観点からビジネスモデルを検討する必要がある」と指摘している。