上半期のインフレは制御 ベトナム経済金融研究所など、会議で報告

世界には上昇傾向にある物価だが、ベトナム政府はインフレをうまく抑制できているという調査結果を、ベトナム経済金融研究所(IEF)と財務省が今月2日、ハノイ市で共催した会議で報告した。ベトナム統計総局によると、今年上半期のベトナムの消費者物価指数(CPI)の上昇は、昨年同期比1.47%増にとどまり、2016年以降最も低い数値だった。

財務省傘下の経済金融研究のグエン・バー・ミン所長は、新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた市民や特定階層向けの政府の支援策が、指数の上昇を抑えるのに役立っていると開設した。また、研究所のグエン・ズック・ド副所長は、「石油とガス、建設資材などの価格は高止まりしているが、基本的には低インフレ状態が保たれ、食品の価格が安くなったことなどが、指数のバランスを保つのに重要な役割を果たした」と分析した。

財務省価格管理局のグエン・スアン・ディン氏をはじめ、会議に出席した専門家らも、「現時点では、政府がうまく物価などを制御している」との見方で一致した。消費者物価指数の上昇が今年度は、政府が設定した目標水準の前年比4%増以内に収まる見込み。だが、今年下半期は経済状況がさらに複雑化するとの予想もあり、「今後はさらに注意深く、状況を見守る必要がある」とディン氏は指摘した。

経済金融研究所のド副所長は、今年の見通しについて、下半期の消費者物価指数を、0.27%前後の増加に抑えることができれば、インフレ率は、現在の2.41%増から上昇しても、年末の数字では3.28%増程度にとどまる見込みだと分析している。その場合、年間を通じてのインフレ率は2.12%増になる計算だという。

一方で、下半期の消費者物価指数が0.5%増だった場合には、インフレ率は2.53%増になるという、別のシナリオも提示。生活必需品の価格変動を細かく観察し、鉄鋼やガソリン、ガス、航空運賃、医療費、土地や不動産などの価格を制御する必要性があると指摘した。

これらの報告を受け、価格管理局では、不動産や株式市場など、価格変動のリスクをはらむ分野での監視にさらに力を入れる方針だ。