ポーランドでは、コメやコーヒーといったベトナムに優位性がある農作物や食品の人気が高く、ベトナム企業が中欧市場へ進出するチャンスが到来している。

写真㊤=ベトナムのST25米は、タイ米に比べて価格、品質面で競争力を持つ

◇需要の拡大
ベトナムの農作物や食品は、近年国際的な地位を確立し、米国や日本、欧州、韓国を含む185の国と地域で販売されている。ベトナムが加盟する自由貿易協定(FTA)が、これらの輸出促進に大きな機会をもたらしている。

駐ポーランド貿易参事官のグエン・タイン・ハイ氏によると、ポーランドでは、コメや魚のバサ、エビ、マンゴー、パイナップル、パッションフルーツ、コーヒー、カシューナッツといった製品へのニーズが高く、ベトナムのST24米とST25米は、価格、品質の面でタイ米に対抗できるという。

現状、EUにおけるベトナム米のシェアは6%にすぎず、タイ米やカンボジア米には及ばない。「EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)におけるベトナム米の輸出枠は年間8万トンで、230万トンというEU諸国や英国の平均的な輸入需要に比べると小さい規模だ」とハイ氏は言う。

その中でカシューナッツ加工品は、ポーランドの国内企業の供給量では増大する需要に追い付かないため、マンゴーやパイナップル、パッションフルーツの濃縮ジュースとともに、輸出は大きく伸びると予測される。

◇特恵税率によるメリット
駐ベトナムポーランド大使のヴォイチェフ・ゲルヴェル氏は、「ベトナムとポーランドの古くからの友好関係は、企業間の協力を強化する良い環境を作り出すだろう」と述べる。

EVFTAでは、EUは関税品目のうち85.6%の輸入関税を撤廃する予定で、これはベトナムの輸出品の70.3%に相当する。7年後には、関税品目の99.2%(ベトナム輸出品の99.7%)が撤廃される。残りの0.3%については、関税割当制度を適用し、輸入関税は0%となる。これは相手国がベトナムに提供する約束事としては、最高レベルの待遇だ。

商工省貿易促進庁のヴー・バ・フー長官は、「輸入関税の優遇措置により、EU全般、とりわけポーランドへのベトナム製品の輸出は、中国やカンボジア、ミャンマー、バングラデシュの競合品に比べて、高い競争力を持つだろう」と指摘する。

ベトナムは、EUにとって10番目の物品供給国であり、市場におけるシェアは1.8%だ。ベトナムの省庁は両地域間の貿易促進に向けて、国内企業がFTAの約束事や市場動向に関する最新情報を得られるよう、情報発信を強化している。