物流の効率化とDXを活気づくITベンチャー

ネット通販の普及などで物流需要が高まるなか、陸運や海運の効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)を提供するスタートアップ企業が続々と登場している。ベトナムの物流業界は中小零細企業が多く、業務の効率化に手が回っていないことなどが背景にある。潜在的な市場ニーズは高いといい、今後さらに成長が期待されている。

ベトナム国家統計局によると、2019年の国内の物流量は1558億1100万㌧㌔(貨物の重さと走行距離を乗じた物流量を示す単位)。うち陸運は同約790億㌧㌔。海運は同約560億㌧㌔。だった。また、ASEAN(東南アジア諸国連合)内のトラック台数も、ベトナムはインドネシアに次ぐ2位となっている。

物流におけるさまざまなソリューション提供するIT ベンチャー、アビビン・ベトナム(Abivin Vietnam)は創業以来わずか5年間で、 ASEANライスボウル賞のベスト・ロジステイクス・サプライチェーン・スタートアップ賞やスタートアップ・ワールドカップ 2019、ベトナムデジタルアワード 2020 など、数々の賞を受賞してきた。

創業者のファム・ナム・ロンCEO(最高経営責任者)は、「物流業界では、効率の悪さなど課題を抱える企業が多く、DXや効率化の市場潜在力は非常に大きい」と意気込む。起業に先立つリサーチで、ロンCEOらは多国籍企業の代表者から中小企業のオーナーまで、多くの企業関係者に面会してきた。その結果、トラック運転手の追跡から膨大な積み荷の仕分け、配送ルートの適正化など多くの難題を抱えていることが分かった。

同社が提供するトランスポート・マネジメントシステム「アビビン vルート」は、配送や集荷ルート、3Dによる積荷と棚卸など、物流の諸問題に対する解決策を提供する。荷物の送り手側にとっては適正な輸送代金やドライバーを選択できるメリットが、ドライバー側にとっては積載量の効率的運用などのメリットなどがある。

商工省傘下の海外貿易機関や商工新聞などはこのほど、企業向けの物流開発セミナーを開催。参加したアビビンのロンCEOは、「ユニコーン企業(設立10年以内で評価額10億ドル以上の非上場ベンチャー企業)となって、ベトナムの物流最適化に向けた実践的なソリューションを提供し続けたい」とぶち上げた。