郵便公社が農産物販促を支援 配達網や通販活用で好調

新型コロナウイルスの感染拡大が再燃したことで、全国各地で消費が冷え込み、さまざまな農産物が行き場を失った。そこでベトナム郵便公社は、農産物の販促に乗り出した。全国に点在する郵便局や同公社のPOSシステム(販売情報管理システム)、通販サイトから配達網までを活用したところ、農産物が全国で好調に売れているという。

農産物の販促活動への郵便公社の参加は、新型コロナの感染拡大が社会に与える悪影響を抑えようと、商工省と情報通信省が協力して展開するプロジェクトに採用された。 商工省の特別ワーキンググループが、全国各地で農産物販売を促進するために多くの企業と協力を模索するなかで、郵便公社との協力が実現した。

メコンデルタのドンタップ省では果物の収穫時期に国内の新型コロナ感染が再燃。外出や往来などが制限された影響で、卸売業者や行商人らが果物を仕入れのための往来ができなくなってしまった。一部では省当局などの支援もあったが、5340ㇸタールで栽培されている5万3000トンあまりのリュウガン(竜眼)の売れ行きが急速に鈍り、販売価格も予想を大きく下回ることとなった。

これを知ったベトナム郵便公社は、地元の商工局、運輸局や農業組合と協力し、リュウガンの輸送などで全面協力することになった。リュウガンの輸送に、省の間を結び郵便物を運ぶ同公社のトラック網や郵便局ネットワークを活用。さらに、同公社のインターネット上の通販サイトが、果物の販売を大きく後押ししたという。

リュウガンをはじめとする農産物や果物の消費を促進しようと、タイニン郵便局では、通販サイト「Postmart.vn」での扱いを始めた。郵便局のもつ輸送体制のおかげで、販売された果物は摘みたての状態で新鮮なまま、特に地元南部を中心とした消費者に届けられた。

ベトナム郵便公社が支援する農作物販売は、全国63の省や市で、様々な手法で展開された。市民が自宅から自分で買い物に出ることを許されている地区では、農産物は郵便局などで販売。外出自粛が求められる地区では、通販サイトを通じて注文を受けつけ、郵便物の配送トラックを使って、果物を届けた。同公社によると、郵便公社のネームバリューに助けられて消費者は価格や品質、配送が保証されると感じ、安心して注文をしてくれるという。

最近では、フェースブックやZaloなどのソーシャルメディア(SNS)なども、情報発信に積極的に活用。さらに、公社独自で短い動画を作成し、ユーチューブなどで農産物を消費者にPRしているという。

ネットの活用や一般向けの販売だけでなく、もっと大口の購入先を確保するため、さまざまな政府機関のほかスーパーマーケット、小規模店舗、卸売市場、食品の加工場などにも販売するため、営業活動を続けている。

いくつかの郵便局内には、農産物を扱う特別なカウンターを設けて、自社の通販サイト「Postmart.vn」にリンクをはったQRコードで製品を管理した。また、各郵便局が作る販促用の冊子などにもこのQRコードを載せ、消費者を農産物支援のための通販サイトへと誘導している。 消費者は郵便局を介して商品を注文することもできるという。

このように柔軟で、多様な販売方法を駆使したおかげで、135トンのリュウガンが地元南部地域で消費され、全国で計330トンの販売が実現した。リュウガンに加え、肉や魚、卵など675トンの農産物が郵便局の支援事業を通じて購入され、このうち南部の各省での販売は430トンだった。全体ではこれまでに、8500トンの果物や野菜が全国で販売された。

商工省の特別ワーキンググループによると、外出自粛や往来の制限などに加え、卸売市場や市民の台所である生鮮食料市などが無期限で営業停止となったことから、農作物の販売促進活動が、特にベトナム南部において停滞しているという。ホテルやレストラン、工業団地などで労働者らの食事を提供する集中調理施設なども営業を停止しており、これも農産物や果物の需要を激減させる原因となっている。

そのなかで、特別ワーキンググループは、郵便公社の創造性豊かで柔軟な需要と供給のマッチング手法が「過剰な在庫を減らすと同時に、ホーチミン市など、農産物が品薄になり需要が高まっていた地域には、十分な供給をもたらした」として、ベトナム郵便公社の努力を称えた。