評価高まるベトナムの改革進展 「グローバル・イノベーション・インデックス」44位に

世界知的所有権機関(WIPO)が世界各国のイノベーション(改革)能力を分析した「グローバル・イノベーション・インデックス(GII)」の2021年版で、ベトナムは132カ国のなかで44位だった。これは中所得層国のなかでも突出した順位で、ベトナムは改革推進の側面で、他国の手本となりつつある。

中所得国をけん引
9月20日発表されたこの指数について、科学技術省がこのほど詳細を発表した。それによると、ベトナムの2019年の順位は42位。ベトナムが採用した新たな国内総生産(GDP)の計算方式が採用され、従来の数字よりもGDPが36%増加した2020年も、同じく42位だった。

「グローバル・イノベーション・インデックス(GII)」の2021年版の報告書は、ベトナムについて、「グローバル・イノベーション・インデックスの対象国・地域のなかでももっとも改革が進歩的であった50の国のうちのひとつだ」と評価。中国やトルコ、インド、フィリピンなどと並び、ベトナムが「今後数年間に世界の状況を大きく変革させる可能性を秘めた国」であるとして、「ベトナムはその推進力によって、今後、改革を継続的に進めている先進国の仲間入りを果たすだろう」と分析し、この点は他の国々が学ぶべきだと指摘した。

世界知的所有権機関はまた、新型コロナウイルスの影響が世界的に社会経済や科学技術、改革に打撃をアが得るなかで、ベトナムが上位50カ国内に入り続けていることを称賛。同機関の太陽光エネルギー・エコシステム部門責任者でもあるマルコ・アレマン副所長は、改革を国の優先事項に掲げて実現を推進するベトナムの姿勢が、他の国々のよい手本になっていると称える。

「ベトナム政府は、GIIの指数を国の改革進展の効率を測り、評価するための道具として活用している。これはベトナムが国の発展にとって、改革がいかに重要であるかを十分に認識していることの証拠だといえる」とアレマン副所長は評価。「他の国々が改革の進度を評価するために体系的にGII指数を活用する手法を、ベトナムの実例から学ぼうとしている」と話す。

◇持続可能な発展のために
世界知的所有権機関によると、ベトナムはGIIの柱となる7つの重要な改革指標すべてにおいて、中所得国の平均を上回っている。また、過去10年間連続で、現状の経済発展の度合いにしては高い改革推進力を示していると分析。これは、投入した労力で効率よく改革の成果を導く、ベトナムの能力の高さを物語っているといえる。

科学技術省のブイ・テ・ズイ副大臣は、この点について「新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に、製造業をはじめさまざまな企業経営、研究開発、さらに改革の活動にも、大きな打撃を与えており、ベトナムもその例外ではない」と話す。だが、世界知的所有権機関の評価や、ベトナムが改革への投資をコロナ禍の過去2年間も維持継続してきたことなどを挙げ、「改革に投資することが、世界が持続可能な経済発展を実現し、さらには新型コロナの感染拡大に対峙するための有効な手法であるということが、これで証明されたと思う」と強調した。

ベトナム政府はすでに2017年以降、GII指数を重要な管理ツールとして活用しているが、科学技術省でもこの指数が多くの場面で活用できると判断。各省庁や地方自治体にも、指数の改善を図り、組織内の改革を進めるよう求めている。

各国の行った改革の結果は、その国の発展進度や改革の実現能力、他の国々や経済圏とのかかわり方にも深く関係してくる。改革の推進は、長期的な課題解決や参加、政治体系全体の調和などを含めた持続可能な基盤があってこそ実現する。これらすべての実現によって、以前に増して発展を優先させる風土が生まれ、科学や技術、改革が経済発展の推進力となり得るのではないか。