IT活用し、農産物輸出を

ライチをはじめとするベトナムの農産物の輸出が盛んになっている。新型コロナウイルスの流行が続く中、農産物の新たな輸出先を切り拓こうと商工省が組織を挙げて強力にバックアップしており、現地企業や見本市の情報を提供するプラットフォームを立ち上げるなど積極的なIT活用を進めている。

写真㊤=シンガポールのスーパーマーケットに並ぶベトナム産ライチ

2021年は、ベトナム産のくだものにとって記念すべき1年となった。ライチとリュウガン(ロンガン)が初めて、オランダやベルギー、仏、独、英国に直接輸出された。また、貿易会社のウンダム貿易(Uu Dam Import-Export Company)が15㌧の冷凍ドリアンを豪州に輸出、わずか2日間で売り切れる人気となった。

こうした成果の陰にあるのが、在外ベトナム貿易事務所のプロモーション活動だ。在ベルギー・EUのチャン・ゴック・クアン貿易参事官は「農産物の売上増加に注力するよう商工省から指示があり、現地のスーパーマーケットや卸業者に売り込んでいる」と話す。インターネットを活用した宣伝や販促活動も強化している。


ドイツのドン・チュアン・センターに並ぶベトナム産品

在豪州貿易事務所のグエン・フ・ホア所長は、「新型ウイルスの感染拡大以来、商工省の指示を受けてデジタル化を進めてきた。具体的には、ベトナム企業と豪州の企業を結ぶアプリを導入したり、大規模なオンラインミーティングを開催したりしている」と説明する。

シンガポールでは8月下旬、 ハラル食と加工食品の見本市 「ベトナム・ナショナル・ブランズ・ウイーク2021」が対面とオンラインの両方の形式で開催された。在シンガポールのチャン・チュ・クイン商務参事官は、「見本市はコロナ禍の中、ベトナム産品の輸出先を開拓しようとする商工省の努力で実現できた。ベトナムのブランド産品を地元企業に紹介するイベントは、シンガポールで初の開催となった」と成果を強調する。

新型コロナウイルスの流行が続く今、インターネットの活用は、必要不可欠かつ効果的なソリューションとなっている。商工省の指示のもと、貿易事務所など関連組織はITの活用を進めてきた。こうしたなか、同省傘下の貿易促進庁はこのほど、企業向け 貿易促進活動をワンストップに統合したプラットフォーム、ベコビズ・エコシステム(VECOBIZ ecosystem)を立ち上げた。同庁のブ・バ・フ・ディレクターは「システムでは利用者が国内外のイベントや見本市を探せるだけでなく、貿易のコネクション作りや会議やイベントの管理運営もできるようにしている。企業は、顧客を探すとともに為替情報を得ることもできる。銀行や保険会社を探す輸出入業者にも利用してもらえる」と説明する。

貿易促進庁は、2021年から30年を計画期間として、貿易振興に向けたITアプリの開発プロジェクトを展開しており、ベコビズ・エコシステムもその一環。システムの導入によって貿易の効率化と多様化が期待されている。