対外貿易に回復の兆し、9月後半の輸出額は33%増

9月に貿易黒字を達成したことや大型輸出プロジェクトの進行は、今年最後の数カ月間に、ベトナムの輸出にポジティブな変化をもたらすことを示唆する。

◇ホーチミンも輸出増
ベトナム税関総局の最新のデータによると、2021年9月期の貿易総額は530億ドル(約6兆500億円)を超えた。そのうち輸出総額は270億ドル(約3兆800億円)を超え、8月に比べて0.7%減少(8月の輸出額は前月比2.3%減)。輸入総額は266億7000万ドル(約3兆400億円)で、前月比で2.5%下がった(8月の輸入額は前月比6.1%減)。

写真㊤=対外貿易活動には回復傾向が見られる

注目すべきは9月後半の動向で、この時期の貿易総額は290億7000万ドル(約3兆3000億円)であり、同月前半に比べて17.9%(44億2000万ドル、約5000億円)増加。特に、輸出総額は33.7%(39億ドル、約4500億円)伸びて、約154億7000万ドル(約1兆7700億円)に達した。こうした結果は、感染予防対策の影響を受けた困難な時期を経て、貿易が回復傾向にあることを示している。9月後半では、18億7000万ドル(約2100億円)の貿易黒字となった。

9月におけるもう1つの明るいニュースは、ホーチミン市の輸出が回復したことだ。同市の輸出総額は33億6000万ドル(約3800億円)を超え、8月に比べて33%、8億ドル(約910億円)以上増加した。ホーチミン市には多くの工業団地や輸出加工区、大型港、タンソンニャット空港があり、南部の省・市にある企業が、生産のための機械・機器、材料を輸入し、輸出を促進するための貿易円滑化措置が実施されている。

◇南部の成長回復を予測
商工省のド・タン・ハイ副大臣は先日の記者会見で、「商工省はFTAを活用する企業努力を支援するとともに、輸出を促進するための行政改革を加速させている」と述べた。政府は同省に対し、年間輸出額の4~5%の増加を指示しているが、同省は10%以上の高い成長率を予測している。

また、大型の輸出プロジェクトも進行中だ。例えば、韓国のLGディスプレイはこのほど、ハイフォン市の工場に14億ドル(約1600億円)の追加投資を実施。同市への総投資額は46億5000万ドル(約5300億円)となり、ハイフォン市でも最大の投資案件となった。同社は、プラスチック製の有機ELディスプレイ(OLED)の生産量を、月産で960万~1,000万台だったのを1300万~1400万台に増産する予定で、これによって年間の輸出額は約65億ドル(約7400億円)に拡大し、ベトナムの輸出額に大きく貢献する見込みだ。

商工省は、新型コロナのパンデミックを効果的に抑制できた場合、南部の企業は、今年の最終四半期には成長を回復できると予測している。同省は、2021年は貿易収支が均衡化、もしくは黒字化するとの見通しを示している。

2021年第1~3四半期の貿易総額は4840億ドル(約55兆2000億円)で、月平均では約540億ドル(約6兆1600億円)。年間の貿易総額は6000億ドル(約68兆5000億円)を超えるとみられている。