今年年初からベトナムに大きな打撃を与えている新型コロナウイルスの感染拡大とその影響は、国内最大規模の銅鉱山をもつベトナム鉱産総公社(VIMICO)ラオカイ銅精錬所で働く職員たちにも影響を与えた。だが、同社は新型コロナの流行を契機に、労働組合と協力して、生産の維持と職員の健康を両立させるため試行錯誤している。

◇労働者らの生活の安定へ
鉱産総公社労働組合の報告によると、同社と正式な労働契約を締結している職員は現在、1000人。その約20.15%は女性だという。今年1~10月の職員の平均月収は、1人1200万ドンだった。

同社と労働組合は、193人が快適に暮らせる寮をもっている。入居料は無料で、これは仕事の安定性の維持という目的に加え、有毒性の高い鉱物を扱う職員に対する支援の意味もある。

このような現実的で効果のある支援策は、労働者らの労働意欲の維持に貢献している。この結果、同社は、今年1~10月、生産量などさまざまな目標数値を達成し、製品の高い品質も維持することができたという。

◇コロナ禍での安全確保
新型コロナウイルスの感染拡大予防と生産の維持を両立させるため、同社と労働組合は、社内での効果的な感染予防対策を実施している。

同社の対応は、保健省の指示に厳格に従い、迅速に感染予防や対応にあたるというもので、感染が検出された場合の隔離準備なども行っている。同時に、ラオカイ省疾病予防管理センターと調整し、ウイルス検査のサンプル採取の手順などについて研修を行い、感染拡大に対処するための専門的な予行演習も実施した。

感染が急拡大していた時期には、全従業員だけでなく、来社する顧客や関係者らにも検温への協力を求め、熱がある人は建物に入れないよう徹底した。さらに、来社した人全員にも、健康状態の報告提出を義務付けた。また、週2回のペースで、従業員らの作業スペースや社員食堂、利用する車両やトイレ、事務所、量などの消毒作業を行った。これらの試みの一環で、鉱産総公社は、消毒液の自動噴霧機や消毒液の自社開発という、思いがけない副産物も得た。

感染予防策としては、社員食堂の過密を避けるために、1テーブルあたりの着席者を2人までとしたり、パーテーションで席を区切ったりしたほか、従業員に食事前の手洗いを励行。感染者や濃厚接触者らが出た場合に備えて臨時の隔離室を従業員寮内に14室確保し、必要な物資などを準備した。ラオカイ省運営委員会の指示のもと、社内の感染予防策の詳細を決定し、感染対応の訓練なども行った。この体制のもと、これまでに従業員や関係者、顧客、専門家に加えて製品の搬送などにあたる運転手や原材料供給にあたる取引業者など、約900人が新型コロナの検査を受けることができた。

今年1~10月の感染予防対策費は総額約13億8600万ドンだった。感染者ら12人に対しては、14日間の隔離期間中の給料支払いも継続し、その費用は総額2200万ドンを超えた。さらにラオカイ省のワクチン基金に対して3億ドンの寄付を行うと同時に、新型コロナの感染や濃厚接触などで隔離を余儀なくされた人々に対しても、5469万ドンを提供した。

コロナ禍を契機に深まった連携について、ラオカイ銅製錬総公社と労働組合は今後も強化していくという。今後はさらに、組合員や従業員の権利や利益の保護、労働組合の活動に関する労使間のコミュニケーション改善にも前向きに取り組む考えだ。