年末年始に高まるインターネット購買 個人消費の回復を経済発展の起爆剤に

ベトナムも、世界各国と同じく、2021年後半は新型コロナウイルスの感染拡大によって大きな経済的損失を被った。しかし、昨年末から今年の年明けにかけ、経済回復と感染対策を両立する「ニュー・ノーマル」の態勢へと移行していくなかで、インターネットなどを使った電子商取引で、個人消費の回復の兆しが顕著になった。これが2022年の経済発展に向けた起爆剤になるとの期待が高まっている。

◇地方に広がるネットショッピング
SNS大手フェイスブック社と米国のコンサル企業、ベイン&カンパニーが共同で行った調査「SYNC東南アジア」によると、新型コロナの世界的感染拡大は、消費者の買い物動向のパラダイムシフトにつながり、ベトナムの消費者の買い物も大きな変化をとげたという。買い物にインターネットを活用したという人は、商品の「認知」の段階で81%、「調査」の段階で84%にのぼったほか、実際の「購入」も56%はインターネット上で行われており、いずれの行動も実店舗の利用を上回った。消費者がオンラインで購入する商品カテゴリーも幅広く、より多様になっている。ベトナムの昨年のネットストアでの商品購入件数は2020年と比べて40%増、金額ベースでは約1.5倍に増加した。

12月上旬に行われたオンラインショッピング促進キャンペーン「オンライン・フライデー2021」は、魅力的な価格の商品で、数百万人の消費者の関心を集めた。年末のショッピングシーズンの始まりを告げる「オンライン・フライデー2021」は、政府機関と商工省、各省や都市の人民委員会のほか、さまざまな団体やITインフラ開発企業なども加わった大消費イベントに成長した。11月27日から12月5日まで展開された販促企画「オンラインショッピングウィーク」も、数百万人の参加を集めた。

宅配大手のJ&T エクスプレス社の統計によると、インターネット上の販売促進イベント「メガ・デー」(11月11日)とブラック・フライデー(11月第4金曜日)があるため、11月は年間を通じてもっともネットでの商品購入件数が多いという。インターネット上での商品購入件数は年々増加しており、利用が大都市部周辺だけでなく全国にも分散するなど、インターネットの販売展開はベトナムでも急速に拡大している。

フェイスブックが世界的な広告代理店であるグループ・エムのベトナム支部とともに実施した調査では、インターネットでの買い物のうち、約3000万人の利用者が農村部の居住で、これが全体の約46%を占めるようになったという。調査では、農村部の日用消費財購入費について、2020年から2025年にかけて毎年平均7%成長していくと予想しており、その伸びは都市部での成長率(約4%)よりも大きい。商品カテゴリーで見ても、農村部では都市部よりも、さらに幅広い商品がネットで購入されるようになる見込みだ。

◇年末年始の購買の高まりをチャンスに
前術の調査「SYNC東南アジア」では、メガ・デーのような購買促進キャンペーンが、新型コロナの感染拡大からベトナム経済を回復や成長へと大きく後押しするチャンスになるととらえている。長い社会的混乱の後で、消費者は支出を少しずつ増やしており、ベトナムの旧正月(テト、2022年は2月1日)の買い物も前倒しされる傾向にあるため、2021年年末から2022年1月にかけてのインターネット購買は、全国的に爆発的なものになると予想されている。インターネットショッピングは消費者の商品購入時の選択肢としてなじみ深いものとなりつつあり、調査でも、対象者の約79%が 2021年のテトの買い物を「オンラインで行った」と答え、今後のオンラインショッピングの利用についても約90%が「利用すると思う」と回答しているからだ。

このようなインターネットショッピングの広まりは、インターネット上の販売促進に力を入れ、売り上げを増やしたい中小企業にとって、大きなチャンスになると考えられる。そのために、中小企業は、インターネットを上手に活用してプロモーション活動を展開し、受注を迅速化すること必要だ。さらには、顧客向けサービスを最大化するために、評判の良い物流パートナーを選択したり、自社に最適な電子商取引プラットフォームを探したりすることも求められている。

このような状況をとらえて、物流各社もインターネット通販の拡大に注目している。J&T エクスプレス社は、36カ所の大型物流拠点と1900カ所の配送拠点を整備し、情報通信技術を応用したスムーズで正確な配送を実現した。さらに配送員の新型コロナワクチン接種を含めた安全対策の徹底などで消費者向けのアピールも展開し、ショッピングシーズンのピークに備えているという。